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(117)蟷螂の枯れたる腹のやはらかに/夏井 いつき(1957年~)

 子どもの頃、蟷螂(かまきり)を飼っていた。あの目、あの鎌、愛らしい昆虫である。餌になる虫のいない冬場は魚の切り身を小さく切り、ピンセットで食わせた。年も越し、蟷螂としては大長寿だった。目も見えなくなり、最後は木っ端のようになっても腹だけはやわらかく、それがやけに不思議であった。死んだあと、腹から大…

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 「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。

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