常勝の土台づくりへ無難な船出 検証・石井楽天(1)

CSファーストステージ第1戦でロッテにサヨナラ負けを喫した石井監督(左)。第2戦も勝てず、8年ぶりの日本一は果たせなかった

 東北楽天は就任1年目の石井監督が指揮を執った今季、2019年以来のAクラスとなる3位で終えた。米大リーグから田中将が復帰するなど前評判は高かったが、後半戦は上昇気流をつかめず優勝争いから脱落。クライマックスシリーズ(CS)はファーストステージでロッテに敗れ、8年ぶりの日本一の夢は絶たれた。ゼネラルマネジャー(GM)を兼務する全権監督の下での戦いを振り返り、チームの収穫と課題を探る。(東北楽天取材班)

リリーフ陣を整備

 楽天生命パーク宮城であった4月24日の西武戦。本拠地初登板の田中将は6回1失点にまとめ、打線が一回に挙げた2点を守った。七回からは宋家豪、酒居がつなぎ、九回は守護神松井が締めた。「ロースコアの逃げ切りがうちのベストプラン」。石井監督は試合後、思い描いた展開での勝利に表情を緩めた。

 石井監督は当初からロースコアの試合に持ち込む展開を重視した。まず着手したのが、昨季の防御率が4・06と振るわなかった救援陣の整備だった。

 松井を先発から抑えに戻し、実績のある宋家豪や酒居らで勝ちパターンを構築した。安楽や西口ら若手の台頭を促し、救援陣の防御率はリーグトップの2・75まで改善。1~3得点の試合の勝率は、昨季の2割から3割8厘に上がった。1点差の試合は18勝16敗と勝ち越した。逆転負けは32から24に減った。

 8月下旬に松井が右太もも痛で離脱したが、相手の打順に合わせて抑えを宋家豪や酒居らに任せた。石井監督は「リリーフの頑張りに尽きる」と何度も強調した。

助っ人補強で失敗

 投手陣のやりくりでは手腕を発揮した一方で、犠打や走塁を絡めた「作戦実行能力」は道半ばだ。犠打成功率はリーグ5位の8割9厘で昨季を下回った。今月6日のロッテとのCS第1戦(ZOZOマリンスタジアム)、2点を追う七回に太田と山崎剛が送りバントを失敗したのが象徴的だった。

 盗塁数はリーグ最下位の45で昨季より22個減った。「盗塁ではなく走塁に力を入れたい」(石井監督)。一走が右方向への打球で果敢に三塁を狙う意識など走塁技術を優先させたが、走塁で局面を打破するケースは少なく、2年前にGMとして現場に求めた「攻撃の幅」を広げたとは言い難い。

 GM業は外国人打者の補強で失敗した。ディクソン、カスティーヨは振るわず今季限りで退団した。日本人選手は、7月に巨人から炭谷を獲得したのは的確だった。ベテラン捕手の存在は今季10勝した2年目右腕滝中の飛躍につながった。

 監督1年目は勝率5割を一度も切らなかったが、貯金は思うように増やせなかった。「常勝軍団」の土台づくりと考えれば、無難な船出といえる。2年目の来季、監督としての真価が問われる。

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