手間少ない品種開発、公務員が副業で支援… リンゴ産地、担い手不足解消に知恵絞る

 リンゴの生産量日本一を誇る青森県で、後継者難や補助労働者の高齢化で低下する生産性を向上させる取り組みが進む。栽培に手間が掛からない品種の開発や公務員の兼業容認、機械化促進など、担い手不足を補う知恵を絞る。
(青森総局・伊藤卓哉)

新品種「初恋」は色づきがよく、葉取り作業がほとんど不要になる=藤崎町

 藤崎町で10月上旬、新品種「初恋」の収穫作業があった。初恋には色素のアントシアニンが多く含まれ、色づきの良さが特徴だ。実に満遍なく日光が当たるようにする「葉取り」作業がほぼ不要となる。

 同町の太田昌文さん(66)の園地で自然交配によって生まれ、苗木の一般販売が11月に始まった。品種登録を申請している原田種苗(青森市)の原田寿晴社長(52)は「糖度が高く、食感もいい。普及させて農家の負担を軽くしたい」と意気込む。

 弘前市は10月、リンゴ栽培に限定して市職員の副業を解禁した。ミカン栽培が盛んな和歌山県有田市の制度を参考にした。11月5日時点で27人が兼業申請し、収穫や摘果に従事する。

 佐藤恵一さん(51)は、30代の2人をアルバイトとして雇用した。両親と妻とともに計5ヘクタールの農園を経営。収穫期には近所の主婦ら4人を雇うが、いずれも年を取って無理が利かなくなってきた。佐藤さんは「短期雇用に応募してくれる人はなかなかいない。若い市職員に手伝ってもらい助かる」と明かす。

労働力確保に「農福連携」も

 繁忙期などに必要な補助労働力に関して市が実施した調査では、8割近い農家が不足に懸念を示す。市は障害者就労支援事業所の利用者に栽培技術を学んでもらう「農福連携」による人手確保策なども進める。

 風丸農場(鰺ケ沢町)は機械化に活路を見いだす。出荷の7割を占める加工用の取引価格は生食用の2割に満たず、省力化が安定経営に不可欠だ。剪定(せんてい)枝の収集装置のほか、4年前には約1200万円かけて自動運転の収穫機を導入。国内では製造しておらず、当時取締役だった木村才樹さん(60)がオランダに出向いて発注した。

 車体左右に付いた台に作業員が乗ったまま収穫でき、脚立の上り下りをしなくて済む。リンゴはベルトコンベヤーでコンテナに集められ、小箱の運搬も不要。手作業と比べ3倍のスピードで収穫できるという。

 木村さんは「高齢化の波で、機械化が必要な時代は必ず訪れる。高額の農機具を購入しやすい補助制度を拡充すべきだ」と訴える。

風丸農場で使用されている自動運転の収穫機

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