<手腕点検>白石市・山田裕一市長 刈田病院民営化に力

地区懇談会で自治会長の質問に耳を傾ける山田市長=8日、白石市の白川公民館

 東日本大震災から10年がたった今年、地方自治の現場は新型コロナウイルス感染症との闘いに引き続き追われた。少子高齢化や人口減少、地域経済の疲弊も深刻化。難局のかじ取りを担う宮城県の市町村長は地域の負託に応えているか。住民や関係者の声を交えて検証する。

 今月8~19日、白石市内8地区で山田裕一市長(46)と自治会長らが話し合う地区懇談会があった。新型コロナウイルスの感染拡大以降、公設民営化に揺れる公立刈田総合病院について、市長が市民に直接説明する初の機会となった。

 「公設民営化のシミュレーションがない。公設公営とどっちがいいのか、根拠がないと分からない」

 「(病院問題に関する)住民説明会を設けてほしい」

 地元総合病院の先行き不透明な現状に、出席者から詳しい説明を求める要望が相次いだ。

 病院の公設民営化は、山田市長が再選された昨年10月の市長選で掲げた最重点公約。赤字経営からの脱却を目指し、民間ノウハウの活用に活路を見いだそうとする方針にぶれはない。

 ただ、実現を急ぐあまり、時に冷静さを欠く判断も見受けられる。

 顕著だったのは、白石市と蔵王、七ケ宿両町で病院を運営する市外二町組合の管理者として行った今年1月の専決処分。公設民営化を可能とする条例改正が組合議会で容易に進まないとみるや、両町の合意を得ずに条例改正を強行した。2町はこれに反発し、組合解散の協議にまで発展した。

 裏表のない、真っすぐな性格は山田市長の持ち味だろう。

 東北自動車道白石中央スマートインターチェンジの新設に伴う工業団地整備に向けては「大きな希望だ」と計画の進展に目を輝かせ、東京五輪では、市内で合宿したベラルーシ新体操チームを市を挙げてもてなした。子どもたちと「白石うーめん体操」を堂々と踊り、盛り上げ役も買って出る。

 病院問題も、もっと市民に語っていい。この1年は2町と対立する場面が目立ち、市民は蚊帳の外だった。混沌(こんとん)とした状況が長引くほど、住民には病院存続への不安が広がる。

 市議会の小川正人議長(74)は市長が市議から転身した経歴を踏まえ、「2期目は議員気分が抜け、首長の顔になってきた。市長が成長しなければ白石も成長できない」と話す。自分の考えを持ちつつ、広く意見を聞く大切さを説く。

 地区懇談会で自治会長の一人は「公設民営化が何を目指しているのか、情報が多すぎて理解できない」と率直な思いを語った。市長の掲げる公設民営化の言葉だけが独り歩きしていないか。組合を解散して市立病院にするのなら、その将来像を今から市民と共有しておくべきだ。

 山田市長は各地区の懇談会で、病院問題について住民説明会を開催する意向を示した。時期は年明けを予定しているという。
(白石支局・岩崎泰之)

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