がん患者に語らう場提供 ウイッグ貸し出しも 登米の「サロン」活動10年

月に1度の茶話会で司会をする鈴木さん(右端)=8日午後2時ごろ、登米市の迫にぎわいセンター

 がん患者とその家族が集う宮城県登米市の「ホッとサロンとめ」が、設立から活動10年を迎えた。患者同士でしか分からない悩みを共有し、がん治療の副作用で脱毛した患者向けにウイッグ(かつら)を貸し出すなど活動を広げている。代表で同市の鈴木玲子さん(60)は「患者の悩みや要望を病院に伝える架け橋のような存在になりたい」と誓う。

 がんを患い退院した鈴木さんが2010年8月、ホッとサロンを設立した。当時、登米市周辺では患者同士の支援団体がなく、鈴木さんは「がん患者や家族が不安を打ち明ける場が必要と感じた」と振り返る。

 新型コロナウイルスの影響で活動できなかった昨年を除き、10年間、月に1回、茶話会を開いてきた。登米市や栗原市から患者らが集い、日ごろの出来事や体調を語り合ったり、医療情報を共有したりしている。年に数回、医師を招いた講習会や、ミニコンサートなども企画してきた。

 力を入れて取り組んできたのは、患者向けウイッグの無料貸出制度。治療費などで出費がかさむ患者にとって、ウイッグまで手が回らないのが実情だという。

 登米市在住の音楽家が応援ソングのCDを制作し、売り上げの一部をウイッグ購入に充てるなど支援の輪が広がった。これまで計100人以上の患者が制度を利用してきたという。

 4年前からサロンに通う登米市迫町の矢場恵さん(80)は「皆さんの体験談を聞いていると、自分は一人ではないと元気が出てくる。精神的に強くなれる」と感謝を口にする。

 10月30日には現在の拠点である「迫にぎわいセンター」(登米市)で、10周年記念集いの会を開いた。鈴木さんは「一人一人の患者は思っていることを口にできないことも多い。サロンがそうした声をすくい上げ、病院や行政につなげる役割を果たしたい」と話す。

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