熊本豪雨で「生還」したキジ馬くん、絵本に 仙台の画家・古山さんが絵を担当

取材のため訪れた人吉市で、被災者から復旧の様子を聞く古山さん(左から2人目)=2020年11月
絵本「川があふれた!まちが沈んだ日」

 仙台市青葉区の画家古山拓さん(59)が絵を担当した絵本「川があふれた!まちが沈んだ日 生きる力をくれたキジ馬くん」(チームキジ馬くん編、パピルスあい)が、出版された。昨年7月に九州地方を襲った豪雨で甚大な被害が出た熊本県人吉市を舞台に、人々が復興に向けて歩む様子を描いた一冊だ。

 人吉市内にある郷土料理店の軒先に飾られていた木製の郷土玩具「キジ馬」を巡る物語。キジ馬は野鳥のキジのような鮮やかな彩色を胴体に施した車輪付きのおもちゃで、「キジ車」とも呼ばれる。平家の落人が子どもの成長を願って作ったのが始まりとされる。店の人たちから「キジ馬くん」と親しまれていた。

 絵本では、重さ800キロ、長さ4・5メートルもの大きなキジ馬くんが球磨川の氾濫で濁流にのまれ、1週間後に60キロ下流の八代海で見つかったという実話を基に、困難に負けず戻ってきたキジ馬くんと復旧作業に取り組む人々の姿を重ねた。

 昨夏、郷土料理店のオーナーからキジ馬の話を聞いた東洋大名誉教授の青木辰司さん(69)=東京都=が発起人となり、ボランティアの編集グループ「チームキジ馬くん」を結成。クラウドファンディングで全国から資金を募り、豪雨から1年後の今年7月、出版にこぎ着けた。

 古山さんに声が掛かったのはチーム結成と同時期。「東日本大震災を経験し、被災地の痛みが分かる人に描いてもらいたい」との依頼に「震災時に全国から寄せられた支援の恩返しがしたい」と快諾した。絵本では人吉地域の豊かな自然を優しい色彩で美しく、時に荒々しく表現した。

 昨年11月に取材で現地を訪れた古山さんは、被害が少なかった球磨川上流の風景と、道路や鉄道が寸断された被災地との落差に衝撃を受けたという。「いまや日本は災害大国だ。絵本が自然とどう向き合うかを考えるきっかけになればうれしい」と古山さんは話す。

 B5変型判、48ページ。1540円。インターネット通販アマゾンで購入できる。連絡先はパピルスあい090(2677)2380。

八代海から引き上げられるキジ馬くん=2020年7月

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