8月末、宮城県松島町の大橋健男町長はフランス北西部の港町バンヌを訪れていた。訪仏の目的は、ここに事務局を置く「世界で最も美しい湾クラブ」への表敬だった。
クラブは、世界中からえりすぐった美しい入り江を保護し、観光振興につなげようと1997年に発足した。世界遺産にも登録されているモンサンミッシェル湾(フランス)、ハロン湾(ベトナム)など26の国と地域の湾31カ所が名を連ねる。
「2013年に松島湾の加盟を申請したい」と打診する大橋町長に、事務局は「日本を代表する美しい湾の仲間入りを心待ちにしている」と応じた。実現すれば、日本からは初の加盟となる。
東日本大震災は日本三景・松島の観光にもダメージを与えた。年間約360万人だった観光客数は「風評被害もあり6、7割にまで落ち込んだ」(松島観光協会)という。
大橋町長は「美しい湾クラブ加盟で、松島の観光再生をアピールしたい」と意気込み、同時に「津波から私たちを守った多島海・松島湾の地勢的価値を後世に伝えていく仕組みを考えなければならない」と訴える。
松島湾に浮かぶ大小260の島々は震災時、防波堤の役割を果たし、津波の威力を大きくそいだ。実際、松島町の津波による被害は、周辺地域に比べて軽微だった。
大津波から人命や財産を守った松島への再評価は、町民の間でも共通認識になっている。有識者らでつくる町震災復興会議は、松島湾をメーンとする「ジオパーク」の整備を提案した。
ジオパークは、貴重な地形や地質に加え、地震、噴火など地球活動の痕跡を遺産として残し、その生態系を学ぶ「大地の公園」だ。国連教育科学文化機関(ユネスコ)の支援で発足した世界ジオパークネットワーク(事務局パリ)が認定する。
国内では洞爺湖有珠山(北海道)糸魚川(新潟県)山陰海岸(京都府、兵庫県、鳥取県)島原半島(長崎県)室戸(高知県)の5地域が世界ジオパークに認定。ほかに「世界」入りを目指し、男鹿半島・大潟(秋田県)磐梯山(福島県)など15地域が日本ジオパークに登録されている。
ジオパークの認定を受ける場合、住民主体の推進組織を結成し、教育や観光の拠点となるジオサイトの選定、サイトを巡るジオツアーの構築を検討しなければならない。
松島町内で7月上旬、東北地理学会の研究集会が開かれた。「町民にジオパークとは何かを知ってもらうための第一歩」(町震災復興対策室)に位置付けられた集会には、予想を上回る約150人の町民が参加し、関心の高さをうかがわせた。
河北新報社の提言も「被災の経験を一過性に終わらせず、持続的に防災教育の重要性を国内外に向けて発信する大きな契機になる」と、三陸ジオパーク構想の実現を主張している。
「3・11は私たちに『暮らしは自然と共にあることを忘れるな』と問い掛けた。『見る、食べる、遊ぶ』が主流だった従来の観光を『歩く、見る、聞く、考える』に変えたらどうか。三陸の価値を捉え直すことで復興を支えたい」と、仙台市の民俗研究家である結城登美雄氏(67)。
結城氏の呼び掛けで、石巻市では漁村に生きる人々の知恵や経験を伝える「浜マップ」づくりが始まろうとしている。
被災地支援を続けるNPOが中心となり地元の浜を訪ね歩き、漁民やクジラ解体職人、船大工、地区ごとの祭りを幅広く採集するという。
地域の資産価値を新たな角度から再発見しようとする取り組みが、被災地で生まれ始めている。
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