再生可能エネルギーの戦略的導入を訴えた河北新報社の提言は、安定的な電力供給につながる蓄電池技術の向上・普及を柱とする。東北のほぼ全域が停電に陥った東日本大震災では、蓄電池の持つ可能性が図らずも実証された。
理工系の研究棟が立ち並ぶ仙台市青葉区の東北大青葉山キャンパスで昨年3月11日、漆黒の闇に2階建ての現代的な木造建築が明るく浮かび上がった。
同大大学院環境科学研究科の大学院生関藤麻衣さん(23)は、広島から仙台に引っ越してきて10日目に被災した。研究科の講義室や会議室が入る「エコラボ」であった研究会にたまたま顔を出し、地震に遭った。
そのまま研究室の仲間や教職員ら約20人とエコラボに泊まり込み、2晩を過ごした。「慣れない土地で不安だったが、電気スタンドの薄い明かりに励まされた」と関藤さんは振り返る。
停電なのにエコラボが電気を使えたのは、屋根に設置した太陽光パネルが自家発電した電力をたっぷり蓄えた容量8.4キロワット時のリチウムイオン電池のおかげだった。
太陽光発電は強い揺れでダウンしたが、蓄電池が発電システム復旧までの3日間を支えた。「エコラボに行けば携帯電話を充電できる」。情報を聞きつけた他学部の学生らが大勢訪れた。それでも、蓄電池にはまだ余裕があった。
エコラボのポータブル型蓄電池はその後、石巻市渡波中など市内の3避難所に貸し出され、巨大津波に襲われた被災者も力づけた。
研究科長の田路(とうじ)和幸教授(環境共生機能学)は、発光ダイオード(LED)照明の点灯に歓声を上げる住民の笑顔が忘れられない。「震災が、小さいエネルギーの大切さに気付かせてくれた」
2010年6月に完成したエコラボは、省エネ技術開発の実験設備を兼ねて建設された。
エネルギーの「自給自足」の原則に立ち、太陽光パネルや小型風車などで自家発電した電力を直流電流のままLED照明や携帯電話、テレビなどに使用。一般家庭では、送電された交流を直流に変換する際、10%前後のエネルギー損失があるが、ここではそれもない。
蓄電池は、天候や時間帯によって変動する再生可能エネルギーを安定させる役割を果たす。さらに、例えば自転車をこぐことで得られる数ワットレベルの「微弱エネルギー」も、蓄電池にためておけば有効活用できる。
「電気を消す」「我慢する」といった「使わない」省エネから、小さいエネルギーを蓄え無駄なく使う「つくり出す」省エネへ-。
田路教授は「無限にエネルギーを利用した20世紀型の生活を見直し、必要な分だけつくる社会への転換が急がれる。高性能で扱いやすいリチウムイオン電池の登場で、これまで見捨てられていた微弱エネルギーを利用できるようになった」と力を込める。
エコラボでは自前の蓄電池に加え、発電所から送電される系統電力も利用する。
蓄電池の残量と電力消費量を常時監視。そのバランスに応じて蓄電池から系統電力へと随時切り替える仕組みだ。切り替えは情報通信技術(ICT)で自動制御される。
このように内部のエネルギー需給を管理・最適化できる建物を「スマートハウス」「スマートビル」と呼ぶ。震災を経て確信を深めた田路教授は10月、6階建ての研究科本館もスマート化した。
震災後のエネルギー体系のベースとなるスマート技術。蓄電池はその核心に置かれる。
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