「きれいな体」目指しフィットネス 女性、高齢者など裾野広がる

 筋トレ愛好家の大会と言えば、人間離れした筋骨隆々のボディービルダーが出る遠い世界と思われがち。近年はダイエットやトレーニングの延長で、初心者も参加できるフィットネス競技が活況を呈している。女性らしい健康美を目指し、舞台に立つ人々に話を聞いた。
(生活文化部・江川史織)

ステージでポーズを決める黒沢さん(中央)ら出場者=10月23日、福島市の福島県文化センター

競技大会、出場者の年齢不問

 くびれたウエストに丸みのある引き締まったヒップライン、スラリと伸びた脚が目を引く。10月下旬に福島市であったフィットネス競技の東北大会「ノースジャパンオープン」。水着にハイヒール姿の女性たちが、妖艶かつ優雅なポーズを披露した。

 体のバランスや形、髪形、メークを含めた総合的な美しさを競う「ビキニ」部門。砂時計のようなめりはりのある体つきが理想とされ、過度な筋肉量や絞り込みは減点となる。

 デビューを飾った宮城県栗原市の歯科衛生士黒沢亜希さん(32)は、5月に筋トレを始めたばかり。10歳の長男に腕相撲で負けたことがきっかけだ。「子どもより体が大きいのに力がないのは情けない」と落ち込み、これまでダイエットは「一日坊主」だったが、大会出場を目標に決めた。

 午前4時半に起床し、自宅周辺を40分ジョギング。家事や仕事をこなし、夜は週6日、市内のジムでトレーニングにいそしんだ。大好物の鶏の唐揚げはカロリーの低い蒸し焼きに、間食のチョコレートはゆで卵に変更。地元のスーパーで食材を調達し、家族との食事も楽しんだ。35%あった体脂肪率は15%に落ち、13キロ痩せた。

 大会では経験者や20代の若者を前に「ヒールの音がガタガタ響くくらい足が震えた」と笑う。「身一つの勝負なので、笑顔を心掛けた。ステージでの高揚感は忘れられない」

 結果は4位にとどまったが、黒沢さんは「自分のような『平凡なお母さん』でも、努力した分だけ成果が出る。仕事や子育てで出場を諦めている人の励みになればうれしい」と言う。

 大会は年齢を問わず参加できるのも魅力の一つだ。青森県五所川原市のジムトレーナー鈴木智子さん(45)は、出場経験7回ほどの常連。「ビキニ」のうち、40歳以上が対象のクラスでただ1人、ステージを踏んだ。

 8年前、運動不足の解消を機に筋トレに目覚め、ダンベルやバーベルを駆使して全身を鍛える日々。「変化していく体を見るのが楽しい。審査員の講評が次のやる気につながる」

 本番前は体重を8キロほど落とす。「鍛えていれば年齢を重ねても体重は落ちる。今の体が一番良い」と鈴木さん。白米など炭水化物の摂取を減らさず、大好きなビールも毎日欠かさない。

 東北大会は2015年に始まり、今回7回目。「ビキニ」や筋肉美を重視する「フィギュア」のほか、男性向けの「メンズフィジーク」部門があり、20~50代の男女278人が出場した。参加者は年々増加しており、初回の5、6倍に上る。

 全国で大会を運営する「フィットネスワールドジャパン(FWJ)」実行委員会の堺部元行理事は「『マッチョは怖い、気持ち悪い』というイメージは昔の話。『ビーチで格好いい、きれいな体』を目標に、女性や高齢者も挑戦しやすくなっている」と話す。

 地方大会出場者は、国内外の大会で上位入賞すればプロになることも可能。世界各国のプロ大会に出場できる。「インターネットを活用し、誰もが筋トレの知識を得られる時代。地方から世界で羽ばたく選手が出るのも遠くない」

ヒップを鍛えて体調尻上がり

トレーナーの指導を受けながらトレーニングする利用者=11月19日、仙台市若林区のスタジオアリー

 フィットネスの効果は、見た目が美しくなるだけではない。仙台市若林区の女性専用ジム「スタジオアリー」は、尻の筋肉を鍛えるプログラムを提供。疲労軽減や腰痛改善、スポーツの成果向上が期待できると人気だ。

 1回60分の集団レッスンは8人以下で、トレーナーが手本を見せながら指導。開脚ストレッチで股関節やもも裏の筋肉をほぐす。専用のゴムバンドをはめて両膝を開き、ももに負荷を掛けるスクワットは、大殿筋や中殿筋といった尻回りの筋肉に効果てきめんだ。

 「尻は体の土台。筋肉が減って骨盤がずれると姿勢が悪くなり、腰痛や肩凝りにつながる」と話すのはトレーナーの黒田順子代表社員。「歩行や階段昇降も尻の筋肉を正しく使わないと足腰に負担を掛ける。筋肉の動きを理解することが大切」。器具を使わず、自分の体重を負荷にする自重トレーニングを、自宅でも続けるようアドバイスする。

 昨年4月にオープンしたジムには、小学生から80代まで約50人が在籍。妊娠9カ月に入った尾賀真実さん(36)は「腰痛がない」と喜ぶ。週4日通う主婦(56)は「屈伸が多い風呂掃除が楽になった。体が整っていく感じだ」と手応えを感じている。

 スタジオアリーは新型コロナウイルス感染予防のため、来年2月以降、移動、出張レッスンに切り替える。連絡先は090(8612)4496。

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