山形県西川町が、厳冬に咲く薄紅色の桜として珍重される啓翁桜の特産化を進めている。生産性の高い大規模団地を形成するなど施設を整備し、昨季は約36万本を出荷して生産量が初めて全国トップになった。町は「日本一の産地」としてブランド力を発信し、国内外で販路拡大を目指す。(山形総局・原口靖志)
啓翁桜は出荷後に開花するよう、つぼみが膨らむまで温室で育てられる。秋に気温が下がると休眠し、春の陽気で目覚める性質を利用し、畑で切り出した枝を低温で寝かせた後に順次、植物ホルモンが入った湯に漬けて目覚めさせる。
他産地に先駆け、町内産は16日ごろに今季の初出荷を予定。各農家は町が整備した温室付きの集出荷施設に枝を集め、出荷前最後の仕込み作業に当たる。主に首都圏に出回るほか、香港、マカオなど東南アジアへも輸出される。
生産者でつくる町啓翁桜生産組合の金子光弥組合長(49)は「自分たちが出荷した桜を多くの方に楽しんでもらえれば、営農の励みになる」と喜ぶ。
町内では20年ほど前から栽培されていたが、町は2017年度から本年度まで町内2カ所に大規模な生産団地を造成して作業を省力化した。16年度に19・3ヘクタールだった栽培面積は34・1ヘクタールまで広がり、出荷量も約39万本と3倍に増加した。
本年度の販売額は5662万円を見込んでおり、町産業振興課の担当者は「24年度に1億円の大台に達する計画を立てている」と強調する。将来性のある農業として若手の新規営農も相次ぎ、団地化前は11人だった組合員は他県からの移住者も含めて15人に増え、本格的生産への準備段階に入った人もいるという。
産地形成を進める背景には、農業を取り巻く厳しい現状がある。主流だったコメ作りが米価下落に苦しみ、町の農業世帯は2000年の797戸から20年は494戸と4割ほど減少。高齢化に伴う後継者不足も深刻な問題となっている。
町は県内屈指の豪雪地。冷涼な気候を生かし、収益が得られる作物として啓翁桜に目を付けた。金子組合長も「以前は冬場に除雪作業や酒蔵で働く農家も多かった。一年を通して農業ができ、安定収入を得られるようになった」と話す。
団地化で生産体制が整い、今後は販路拡大に力を入れる。町は10月、全農県本部、地元商工会などで構成する啓翁桜PRプロジェクト協議会を設立した。
桜のチップでスモークした麦芽を使った地ビールやサクラマスの薫製など加工品開発、仙台圏や首都圏での展示会の開催、海外向けのポスターや動画の制作を進める。町名と桜が刷り込まれたのぼりも作った。
「町民が誇りに思えるよう、日本一の産地として確固たる地位を目指す」と町の担当者。金子組合長も「魅力を広くPRしたい」と意気込む。雪国の挑戦は大きな花を開きつつある。
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