「GS難民の力に」仙台中心部で老舗業者が灯油巡回販売

「雪やこんこ」のメロディーを流しながら、狭い路地を巡回する灯油販売車「コンコン車」=2021年12月2日午後2時30分ごろ、仙台市青葉区通町

 今年の3月限りでガソリンスタンド(GS)が消えた仙台市の勾当台通周辺で、10月下旬から老舗灯油宅配業者が灯油の巡回販売を始めた。初雪も降り本格的な冬が到来する中、灯油の購入先に困っていた沿線の「GS難民」に喜ばれている。(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)

「狭い路地」敬遠され

 乗り出したのは宮城、山形両県で石油商品を扱い50年以上の歴史がある千代田商事(本社山形市)。閉店したトキワ北六番丁店(青葉区堤通雨宮町)と保坂北九番丁サービスステーション(同区通町2丁目)から半径約500メートル圏内、木町通や柏木、上杉(ともに青葉区)などを含む約4400世帯が暮らす地域を毎週木曜日に巡回、灯油を販売している。

 灯油宅配はみやぎ生協(仙台市)など、多くの業者が手掛ける。しかし、勾当台通周辺は交通量が多く狭い路地もあるため駐停車がしにくく、個別で配達しても巡回までする業者はなかった。木山忠邦部長(49)は「地域の役に立ちたいという思いが強かった。作業効率と販売量を考えると、収益は多くないですね」と笑う。

 きっかけは、通りからGSが消えたと報じた6月の河北新報の記事。木山部長は「道が狭くて配達できないと、よそに断られて連絡してきたケースもあった」。困っているならやろうという会社の方針もあり、夏ごろから準備と告知を始めた。同業他社は主に2、3トン車で配達するが、千代田商事には1トン車があり、比較的小回りがきくことも背中を押した。

灯油が18リットル入ったポリタンクをマンションの入り口から玄関先まで運ぶ。高齢者を中心に人気のサービスだ=2021年12月2日午後1時30分ごろ、仙台市青葉区昭和町

「玄関先まで」好評

 「雪やこんこ、あられやこんこ」。童謡でおなじみのメロディーとともに、タンクを積んだ通称「コンコン車」がマンションの入り口に止まる。エレベーターがなくても玄関先まで運ぶ、独自のサービスが好評だ。利用者の無職女性(76)は「通りからGSが無くなって困っている人は多い。高齢で持ち上げるのも一苦労だし、本当に助かる」と感謝する。

 顧客は50代以上の高齢者が多い。巡回を始めてからは、週に4、5軒ずつ契約の申し込みが増えている。地区を担当する成田海理さん(27)は「以前は自家用車で買いに行っていたが免許を返納して購入に困ったり、体力の問題で灯油の運搬が困難になったりしている人がほとんど。まさに難民だったと思う」と言う。

 「GSが中心部から少なくなっているのは間違いない。宅配業者も中心部では燃料費削減と慢性的なドライバー不足も重なり、効率のいいルートしか回らなくなっている」と仙台市石油組合は説明する。

 千代田商事は「灯油宅配の空白地は年々増えている。高齢化も進み、今回と同様のケースはもっと出てくる」と見ており、仙台市や周辺の県内各地でサービス拡充に力を注ぐ意向だ。連絡先は千代田商事泉灯油センター022(378)6401。

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