おひとりさまの終活、元気なうちに 葬儀、遺品整理、アカウント削除… やることいっぱい

 国内では単身世帯が全世帯の4割まで増え、高齢者の5人に1人は1人暮らし。人生の締めくくりに備える「おひとりさまの終活」への関心が高まっています。最近の終活事情や準備のポイントを取材しました。(生活文化部・片山佐和子)

ワンストップで紹介

 「自分に万が一のことがあったら、どうすればいいのだろう」「不安だが何をすればいいか分からない」

 冠婚葬祭業の清月記(仙台市)が2019年12月に設立した一般社団法人「アトラスト」(同)。相続や生前整理、資産運用、空き家対策などの相談をワンストップで受け、必要に応じて司法書士や行政書士、医療機関、不動産業者などの事業パートナーを紹介する。

 相談者の約1割は身内がいないか、頼れない「おひとりさま」。70、80代が中心で、自身が亡くなった後に関する質問が多いという。坂野英明事務局長(50)は「死後事務委任契約の仕組みを説明することが多い」と話す。

 死後事務委任は、本人が亡くなった後に必要な手続きを弁護士や司法書士、行政書士などの専門家や知人に託すための契約。葬儀の手配や役所への届け出、遺品整理のほか、知人への死亡通知、メールアカウント削除、ペットの譲渡先探しなど多岐にわたり、必要な項目を選んで契約する。

65歳以上の2割が単身

 専門家に依頼する場合、死後事務にかかる費用を預託金として預けるほか、契約書作成などの費用も必要。内容次第だが、合計金額は100万円を超える場合もある。説明を受けてすぐ契約するケースはまれだが、アトラストには「具体的な対策を知って安心した」「検討したい」といった声が寄せられるという。

 高齢化や家族観の変化に伴い、日本では単身世帯が増え続ける。20年の国勢調査によると、単身世帯は約2115万世帯と全世帯数の約4割。65歳以上の人では約2割が単身で、女性は男性の約2倍。おひとりさまの終活は身近な問題だ。

 だが、実際に着手する人はまだ少数派のようだ。終活情報サイトを運営する鎌倉新書(東京)の「おひとりさまの『ソロ終活』に関する実態調査」(2019年)によると、回答した単身者と夫婦2人暮らしの556人中、身寄りのない60代以上で終活を「準備している」のは19・6%だけ。「興味はあるが準備していない」が53・5%を占め、「興味がない」も26・9%だった。

 アトラストの坂野事務局長は「『終活はまだ先』と考える方は多いが、元気なうちに方向性を示しておくと自身や周囲の安心につながる」と話す。

1人で悩まずプロに頼ろう■資金準備は40、50代から

 いざ終活。でも、どこから手を付ければいいのだろう?
 「迷った時はエンディングノートを開いてほしい」。仙台市泉区の終活教室「お話し仲間」代表で終活カウンセラーの渡辺己紀子さん(68)はアドバイスする。「関心を持った項目に書き込むと、不安に思うことやするべきことに気付く」と言う。

 「おひとりさまの終活」ポイントは表の通り。寝たきりや認知症になった時の備えは「1人で悩まずにプロに頼ろう。まずは地元の地域包括支援センターで相談してほしい」と勧める。

 準備する内容は、自宅や高齢者施設など最期をどの場所で過ごしたいかによって変わる。単身者は施設に入るケースが多い。「夫婦で暮らす人も、いずれは1人。資金準備のためには40代か、遅くとも50代で終活を始めてほしい」と指摘する。

 早めに対応した方がいいのは身元保証。「1泊の検査入院でも必要になる。有償で引き受ける事業者を探すといい」。ただし、身元保証や死後事務委任などの有償サービスを利用する際は、慎重な検討が求められる。渡辺さんは「すぐ契約せず、三つ以上の事業者から見積もりを取って比較を。不安なら司法書士ら専門家に助言を求めてほしい」と強調する。

 このほか孤立を防ぐため、隣近所や民生委員らに1人暮らしだと伝え、地域活動などに積極的に参加するよう提案する。

 渡辺さんは自治体などの終活セミナー講師を数多く務める。以前は縁起が悪いと敬遠されがちだったが、講師依頼はここ数カ月、特に増えた。「新型コロナウイルス禍で死を身近に感じる機会が多かったためではないか」と見る。

 受講者の1人、泉区のパート相沢ひろこさん(55)は、亡父の生前、終末期の意思確認に悩み、終活に関心を持った。「人生の終わり方ではなく、有意義に生きるための取り組みだと捉え方が変わった」と話す。

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