「国内最北」のミカン農家、宮城に誕生 背景に温暖化、路地栽培可能に

ミカンを袋に詰める斎藤さん

 宮城県山元町の農家斎藤正直さん(81)が3年がかりで露地栽培した温州ミカンが今季、初めての収穫を迎えた。温暖な気候から「東北の湘南」と呼ばれる亘理郡(山元町、亘理町)にも生産者はこれまでおらず、関係者によると、生産農家としては国内最北、宮城県第1号のミカン農家誕生とみられる。「最北端 仙台みかん」として、26日から販売される。

約100キロ初出荷

 斎藤さんは24日、オレンジ色に実ったミカン「興津早生(おきつわせ)」をもぎ取り、重さを量って袋に詰めた。ラベルには「最北端の栽培 仙台みかん」。1袋およそ8~11個入り(700グラム)を計約100キロ初出荷した。

 この日のミカンはやや小ぶりながら「きれいに色づいたなあ」としみじみ語り、「程よい酸味があり、うま味が引き出されている」と手応えを感じた様子。

 ナバナなど葉物野菜を生産していた斎藤さんが、西日本が本場のミカン栽培に挑み始めたのは3年前。出荷先の青果卸業、旧宮果(現仙台あおば青果、仙台市)から声を掛けられたのがきっかけだった。宮果は取引先の「ながさき西海農協」(長崎県佐世保市)から、温暖化の進行で産地が北に広がる可能性があるとして「宮城で試してみては」と勧められたという。

 斎藤さんは「80歳を前に新しいことに挑戦しよう」と決意。2019年春、長崎県で3年間育てられた苗木300本を内陸部の約4200平方メートルの畑に植えた。長崎県を視察で訪ね、一面のミカン畑を見て「この光景を地元につくろう」と自らを奮い立たせた。

 東北での栽培だけに、周りは「ミカンなんて植えて大丈夫か」「寒さで枯れるよ」と口にした。斎藤さんは、木の根元にわらを敷き詰めてビニールを掛け、地熱を逃さないよう配慮し、2年間は木の生育に注力。実がなり始めた今夏は、風で落果しないか心配したが、ようやくチャレンジが実った。

 仙台あおば青果の横山幸司・果実1部取締役部長は「実るかどうか不安だったが、長崎の農協などの協力で実現できた。『最北端のみかん』としてPRし、県内で1000本を目指したい」と意気込む。隣の宮城県亘理町の農家1人も今季、苗木200本を植えたという。

 斎藤さんのミカンは年内に計200キロ出荷され、亘理町のみやぎ亘理農協の直売所「おおくまふれあいセンター」で1袋398円(税別)で販売される。

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