懸命に生きる…目を覚まさなくても 意識障害の少女と家族の日常映画に

 生後すぐ「脳死に近い状態」と宣告された少女と家族の日々を追ったドキュメンタリー映画「帆花(ほのか)」が完成した。東北ではフォーラム仙台(仙台市青葉区)で2月4日に公開される。静かに描写される家族の日常が、生きることや命を紡ぐことの意味を問い掛ける作品となっている。

映画「帆花」のワンシーン(©JyaJya Films+noa film)

 映画で描かれたのは、さいたま市の西村帆花さん(14)と母理佐さん(45)、父秀勝さん(45)の2011年春から14年春までの3年間。初の監督作品となった国友勇吾さん(38)が一家に密着した。

 帆花さんは出産時にへその緒の中の動脈が切れ、脳が大きく損傷。医師には「目を覚ますことも動きだすこともない」と言われたが、成長を続けている。

 帆花さんはサチュレーション(血中酸素濃度)の高低と、人工呼吸器から送られた空気が漏れる際の「リーク音」で気分や意思を表してきた-と周囲の人々は考えている。河北新報社は幼少時代の様子を連載「いのちの地平」(10年12月~12年2月)で紹介した。

 脳死問題に関心のあった国友さんは映画学校の卒業制作として着手したが、東日本大震災の影響などで撮影開始が卒業後にずれ込んだ。撮影後は編集作業で試行錯誤し、完成まで7年近く要した。「家族の在り方を矮小(わいしょう)化したり、一般的な通念に当てはめたりしないよう心掛けた」と話す。

 一方、理佐さんは「映画を見た人が何を思うか怖さもあった」という。帆花さんを育てることに心ない言葉を多数掛けられた経験が背景にある。新型コロナウイルス下の公開について「震災では1人を助けるために多くの人が力を合わせたが、コロナ禍では他者を考える余裕が失われている。懸命に生きる帆花の姿が、立ち止まって考えるきっかけになれば」と願う。

 2日の東京を皮切りに各地で順次公開される。仙台では2月5日に国友さんと仙台在住の詩人・岩崎航さんとのトークイベントがある。上映時間は72分。同17日まで公開予定。上映時刻は決まり次第、フォーラム仙台のウェブサイトに掲載する。

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