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「接種のたび持病悪化」 因果関係不明もワクチン3回目に不安

 「ワクチンを打つたびに持病が悪化しました。主治医に相談しても因果関係は分からない。3回目接種は不安で断ろうか迷っています」。こんな投稿が中日新聞(名古屋市)のユースク取材班に寄せられた。新型コロナウイルスの変異株オミクロン株感染が急拡大する中、各地で進む追加接種。一方で体への影響に、もやもやした不安を抱く人はいるはず。どう向き合えばいいのだろうか。

ワクチンの3回目接種への不安を語る女性

 投稿したのは、愛知県内の医療機関で働く名古屋市在住の50代のパート女性。10年ほど前から「加齢黄斑変性」と呼ばれる目の病気で、視界の端が強くゆがんで見える状態が続く。

 女性によると、昨年4月に米ファイザー製ワクチンを接種したところ、翌日から左目に異変が出た。いつもの視界のゆがみとは異なり、視野の中の直線が波打って見えるようになったという。「初めての違和感に戸惑ったが、タイミングは偶然かもしれない」と考えた。眼科で薬を注射してもらうとゆがみは治まった。

 同5月に2回目を接種。すると、再び左目の視野の直線がゆがんで見えるようになった。その際も薬を注射。眼科の主治医にワクチンの影響を尋ねてみたが、分からずじまいだった。

 目の治療に使った費用は10万円以上という。女性は「『また起こったら』と考えると怖い。身体的な負担や高額な医療費を考えると、3回目は正直、打ちたくない」と打ち明ける。

打たない選択肢も

 ワクチン接種後、多くの人が経験する倦怠(けんたい)感や発熱などの副反応。一方で因果関係は分からないものの、典型的な副反応とは異なる違和感や体調の変化などに悩んだ人は、追加接種にどう向き合えばいいのか。

 ワクチンに詳しい藤田医科大医学部の吉川哲史教授(60)は3回目の接種の効果は大きいとした上で、メリットとデメリットについてさまざまな観点から主治医と相談することを勧める。

 例えば、今回の女性の場合は2回接種済みで一定の免疫は獲得している。高齢、肥満や糖尿病など重症化リスクもない、といった状況にある。「年齢や健康状態、周囲の感染状況などを考慮し、十分に納得した上で決めるべきだ。本人が不安を感じているなら打たない選択肢もある」と話す。

 オミクロン株は、デルタ株に比べて重症化する割合が低いとの見方もあり「流行状況や重症度の割合などに関する最新情報をもとに、主治医と相談することが望ましい」と説明する。

条例で差別禁じる

 女性のケースのように接種後に起きた因果関係を問わない好ましくない医療上の出来事は「有害事象」と呼ばれ、因果関係が明確な副反応とは区別される。

 ただ、病院を通じ、国の審査機関「医薬品医療機器総合機構」に有害事象の情報を上げる仕組みもある。同教授は「もし同様の事例が多く集まれば調査の対象になる可能性がある」と話す。

 新型コロナウイルスワクチンを巡っては、体質などさまざまな事情で接種できなかったり、接種しない判断をしたりする人が一定数いる。そうした未接種者に対する差別を条例で禁じる自治体が相次いでいる。

 愛知県大府市は昨年9月、感染症対策条例を改正。予防接種を受けていないことを理由に、差別的な取り扱いや誹謗(ひぼう)中傷を「してはならない」と明記した。担当者は「ワクチン接種が進むほど、接種の有無が差別の対象になりかねないと判断し、あえて分かりやすいようにした」と説明。高知県もワクチン未接種者を対象に明示し、条例に差別の禁止を盛り込んでいる。

 岐阜、三重、長野県の条例には、感染症への対策を講じていないことや、感染の疑いを理由とする差別を禁止する規定がある。三県は対象者にワクチン未接種者を具体的に明示していないが、未接種者が含まれると解釈しているという。いずれも罰則はない。
(中日新聞社提供)

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