河北春秋(1/18):七回1死一、三塁。放ったライナーが遊撃手…

 七回1死一、三塁。放ったライナーが遊撃手に好捕された。一塁走者は戻れず併殺でチェンジ。ところが、1点入った。2012年夏の甲子園で対戦した済々黌(せいせいこう)と鳴門▼済々黌の三塁走者が突っ込み、併殺前にホームインしていたのだ。鳴門が失点を防ぐには三塁でアウトを取るアピールが必要だった。走者はこの「ルールの盲点」を漫画で知った。水島新司さんの『ドカベン』。「狙っていた。してやったり」とにこり。漫画でも明訓高はこの形で辛勝する▼野球漫画の巨匠が旅立った。山田太郎、水原勇気、岩田鉄五郎、藤村甲子園。膨大な作品を生みつつ漫画文化の発展に尽力し、故石ノ森章太郎さん(登米市出身)と親交が深かった。「ひとつ共通点がありました。あまり自慢にならないけどヘビースモーカーだったことです。でもぼくにとってはこれは今でも物凄(ものすご)く誇らしいことなのです」。同市の石ノ森章太郎ふるさと記念館の図録に2人でうまそうに紫煙をくゆらすイラストを寄せた▼ルールの盲点で明訓高を勝利に導いたのは、葉っぱをくわえた岩鬼正美。以前の『ベースボールマガジン』から。「作品の中ではやっぱり『ドカベン』の背番号5がナンバーワン」。練られた物語と時に哀愁を運ぶあの画風。「水島野球」の妙味である。(2022・1・18)

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