<まちかどエッセー・森田みさ>偶然は必然か

もりた・みささん 1966年仙台市生まれ。宮城二女高(現仙台二華高)卒。広告代理店勤務を経て2003年仙台市青葉区でよつば司法書士事務所開業。15年NPO法人ほっぷすてっぷ理事長。21年宮城県司法書士会会長。若林区在住。

 「偶然は必然」という言葉を聞いたことがありますか? 私はよくいろいろなところで目にするので、有名なことわざか何かかと思いましたが、そうではないようです。たまたま起きた出来事のように見えて、それは全て起こるべくして起きたことだという意味で使われます。この世に偶然などあり得ない、ということでしょうか。街でばったり知り合いに会う偶然や、私が作った夕飯とその日の子どもの給食メニューが同じだった偶然、同じ日に見た2本の映画両方に出ていた新人女優が同じ子だったと後日気づいた偶然にさえ、何か意味があるということかもしれません。

 先日、事務所の元事務員と一緒に食事会をしました。昨年司法書士試験に合格したものの、コロナ禍でお祝いを先送りにしていたのです。合格発表を聞いた後、「お祝いに名刺入れをプレゼントするね」と伝えていたので(彼が覚えていたかどうかは知らないが)約束通り買って渡そうと考えていました。ところが、なかなか買い物に行けず、しかも当日は東京に出張でした。帰りに仙台駅構内のショッピングフロアを探してたまたま見つけたお店でなんとか購入し、ギリギリセーフとなりました。

 食事会が始まってすぐに彼に渡し、「開けてみて」と促しました。包みを開けた彼は、当然私の前ですから喜んでおりましたが、すぐに何やら微妙な顔つきになり、自分のかばんをゴソゴソしています。え? もしかして、全く同じものを持っているとか?などと勘繰っていたら、中からお財布が。その財布がなんと、プレゼントした名刺入れと同じメーカーの同じシリーズの同じ色! 彼が自分で買ったお財布と私の買った名刺入れがおそろいだったのです。こんな偶然ってある?とびっくりしました。

 彼が「やっと先生が僕のセンスに追い付きました」と言っていたのは少しショックでしたが、私の好みというよりは、彼をイメージした色を選んだのは事実です。それにしても、そのお店で購入したのは本当にたまたまだし、数ある名刺入れの中からそれを選んだのもたまたまです。今まで生きてきた中でも最大級の偶然でした。

 これが偶然ではなく必然だとして、私と彼の何が必然だというのか? 謎は深まるばかりです。
(司法書士)

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まちかどエッセー

 仙台・宮城在住の執筆者が、それぞれの活動や暮らしで感じたことをつづります。

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