<NPOの杜>誰もが住みよい社会に/みやぎ化学物質過敏症の会 ~ぴゅあい~

ぴゅあい主催のオーガニックの食材を使った収穫祭。オーガニック給食を学んだ=2021年11月、名取市内(写真の一部を加工しています)
化学物質過敏症への配慮を求める国のポスター

 「みやぎ化学物質過敏症の会~ぴゅあい~」は、「化学物質過敏症」で苦しむ人が安心して生活できるよう支援しています。「対立しない、戦わない、正しく伝える」という姿勢で、行政への働き掛けやイベントなど啓発活動にも取り組んでいます。

 化学物質過敏症は一般の人が何ともない微量の物質に過敏に反応し、頭痛や呼吸困難、脱力感などさまざまな症状が現れる病気です。発症すると、あらゆる種類の化学物質に反応してしまい、日常生活を営むことも、起き上がることも困難になることがあります。

 この病気は2009年に病名登録されたばかりで、まだあまり知られていないのが現状です。原因物質は防虫剤、建材、たばこなどさまざまですが、柔軟剤や合成洗剤に含まれる香料が発症の引き金となるケースが増えています。

 他人の服に残った柔軟剤の香りや消臭剤にも反応してしまうため周囲の理解と協力は不可欠です。が、病気の認知度の低さで理解を得られず、孤立してしまうことも。患者は身体症状と孤独の二重の苦しみを味わうことになりかねません。

 団体代表の佐々木香織さんが発症した時も、周囲になかなか理解してもらえなかったそうです。脱力感があり座っていられず、箸も持てず、ついに起きていられなくなった佐々木さんは寝たきりの状態になり失業。「一気に50歳、年を取ったようでした」と、過酷な体験を話してくれました。

 佐々木さんがとった行動は、批判や反対運動ではありませんでした。行政や企業などと連携し、患者と社会が互いに妥協できるよう対応策を作る団体「ぴゅあい」を立ち上げたのです。

 その思いを佐々木さんはこう語ります。「化学物質過敏症は被害者ではなく『鉱山のカナリア』。人が気付いていないことに誰よりも早く気付くということ。身の回りの化学物質で、誰もが突然発症する可能性があります。子どもが学校で発症したら学校に行くのが苦痛になります。多くの人にこの病気を知ってもらい、理解と協力の輪が広がってほしいと願っています」

 私たちにできることを聞きました。「まずは化学物質をなるべく使わないこと。そして患者を取り巻くあらゆる場所で理解と協力が進むよう周りの人に知ってもらい、できる限りの対応をしてもらうことです」

 その上で佐々木さんは「化学物質過敏症の人にとって住みやすい社会は人にも環境にも優しく、誰にとっても住みやすい社会です。一般の人、発症した人、行政、企業などさまざまな立場の人が連携し、気持ち良く生活していければいい」と強調します。

 想像力と気遣いを少し働かせ「強い芳香剤でつらい人がいるかも」「子どもの給食着に柔軟剤を使うのをやめてみよう」と思うことが、誰もが住みやすい社会をつくるきっかけになるかもしれません。できることから始めてみませんか。
(認定NPO法人杜の伝言板ゆるる 阿部千代子)

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