東北の工場電力「脱炭素」へ加速 再エネ100%と契約 屋根に太陽光パネル

購入電力を再生可能エネルギー100%に切り替えたニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸留所=仙台市青葉区

 東北に工場などを持つ企業が電力の脱炭素化を加速させている。再生可能エネルギー由来の電気と証明する証書を使ったり、屋根に太陽光発電パネルを設置したりして、施設の稼働に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量を減らす。2050年のカーボンニュートラル実現を掲げる政府方針を踏まえ、各社が目標達成を目指す。

CO2「50年ゼロ」へ着々

 ニッカウヰスキー仙台工場宮城峡蒸留所(仙台市青葉区)、同弘前工場(弘前市)、アサヒビール福島工場(本宮市)は昨年12月、購入電力を再生エネ100%に切り替えた。東北電力が提供する非化石証書プランを利用する。

 アサヒホールディングス(HD)によると、国内工場の切り替えは計21カ所、CO2削減量は年間6万7000トンとなる。証書の非化石価値が加わる分、電気代の単価は上がるが、同社は「自前の発電設備のみで100%の再生エネ化は困難。現時点で最適な調達コストを実現できている」と説明する。

 石灰石からプラスチックの代替素材ライメックスを製造するTBM多賀城工場(多賀城市)も昨年12月、東北電の非化石証書プランに切り替えた。同社白石工場(白石市)は既に20年に切り替えており、自社の製造拠点で使用する電力は全て再生エネになった。

 日本卸電力取引所(JEPX)の20年度の非化石証書の取引量は200億キロワット時で、初年度の18年度(4000万キロワット時)の500倍に増加。東北電は「顧客のニーズが増え、市場も拡大している」と注目する。

 一方、施設の屋根や敷地を電力事業者に提供し、設置された太陽光パネルの電気を購入する「PPAモデル」も盛んだ。工場などの需要家にとっては初期費用なしで発電設備を設置できる上、通常は電気料金に上乗せされる再生エネ賦課金がかからないメリットがある。

 セイコーインスツル仙台事業所(青葉区)は出力760キロワットの太陽光パネルをPPAで導入し、3月に発電を開始する。年間の電力使用量の5~6%を賄う見通しで、同社は「高騰が続く電気料金を一定程度、抑えられる」と期待する。

 キリンビール仙台工場(宮城野区)も昨年4月、食品工場としては国内最大クラスとなる出力1900キロワットの太陽光パネルをPPAで設置した。今年4月からは購入電力が全て再生エネとなり、年約4500トンのCO2削減を見込む。

 自社の太陽光発電設備を拡大する企業もある。トヨタ自動車東日本岩手工場(岩手県金ケ崎町)は昨年10月、屋根に出力2000キロワットの太陽光パネルを設置。日光を反射して夏場の室内の体感温度を0・6度下げる効果もあり、CO2排出量を年間800トン減らす。

 同社はトヨタグループの目標である「35年までの自社工場のCO2排出量ゼロ」に向け、順次パネルの枚数を増やす方針という。

[非化石証書]太陽光や風力などの非化石電源の価値を「見える化」するため、証書にして取引する制度。2018年5月、日本卸電力取引所(JEPX)に専用の市場が創設された。対象電源の発電量に応じ国の認証を受けて発行される。工場などの需要家は主に小売電気事業者から電気と証書をセット購入することで、再生エネを使ったとみなされる。一部証書は昨年11月、需要家が市場から直接購入できるようになった。どこの発電所でつくった電気かを証書に付与する「トラッキング」も拡大している。

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