<とびらを開く>仙台東部沿岸 緑再生プロジェクト 森と人 一歩ずつ育む

仙台市若林区荒浜地区での育樹体験に吉成小の子どもたちが参加し、苗木を補植した
どんな森ができるのか、説明を聞く子どもたち=2021年11月(いずれも仙台市百年の杜推進課提供)

 仙台市の東部沿岸地域は海、浜、海岸林、湿地、農地が広がり、かつて豊かな緑がありました。東日本大震災の大津波で海岸林の大部分は倒され、流され、残った樹木も塩害で枯れたものもありました。市は2014年から東部地域一帯の緑を市民の「ふるさとの杜」と捉え、再生プロジェクトに取り組んでいます。プロジェクトに関わる人の思いを聞きました。

 プロジェクトは震災後30年を期間とする、壮大で息の長い震災復興のメモリアル事業です。推進に当たり緑の復興に取り組んできた団体を中心に「仙台ふるさとの杜再生プロジェクト連絡会議」を立ち上げ、現在は11団体・企業などで構成。育樹会の企画や視察研修受け入れなどを担っています。活動は「ふるさとの杜だより」に記録され、これまでの活動を知ることができます(最新の23号は今年1月発行)。

2万4000本を植樹

 20年までの第1期の植樹会に参加した市民と植えた苗木は累計でそれぞれ約3000人、約2万4000本に上ります。事務局の市百年の杜推進課の神名川俊英さんは「海岸防災林は早めの整備が必要で、第1期で完了した。10年経過したが、これからが正念場。手を入れないと目標とする海岸林にならない」と言います。

 今後は仙台うみの杜水族館(宮城野区)のある高砂中央公園、若林区の藤塚地区の海岸公園で植樹の予定があります。一方で既に植えた苗木の補植や除草、枝切りなど「育樹にも関心を寄せてほしい」と、継続参加を呼び掛けています。

今に伝える石碑

 連絡会議の会長を務める佐藤修さんは、緑のボランティア団体の活動にも長く携わっています。再生プロジェクトについて尋ねると「以前は見渡す限りの盛り土で、原っぱ。みんなで植樹したことで緑の面になってきた。初めの頃に植えた苗木は、今では私の背丈以上。順調に育っている」と笑顔が返ってきました。

 「住民だけでなく、行政も、私たちメンバーも、ボランティア団体や企業の人たちも関心を持ち、小中高校、大学も関わっている。いろんな人の力を借り、植樹してきた10年だった」と感慨深げです。

 取り組みを通じ宮城野区の新浜では「愛林碑」という石碑があったことも分かりました。他に若林区の荒浜や井土にもあったそうです。多くの海岸林が江戸時代の集落・農地の開墾と並行し、住民の手によって植えられてきたのです。

 「森づくりは人づくりでもあり、二つが車の両輪。それを通じ仲間の輪もつくる。多くの人に参加してほしい。これもいいね、あれもいいね、まずやってみよう。そんな気持ちで取り組みたい」と第2期へ向け意気込む佐藤さん。23年に仙台市で開催される第40回全国都市緑化フェアに向けても「東部沿岸の震災遺構や緑化、他にないような取り組みを全国や世界の人に見てもらいたい」と熱い思いを語りました。

発信の仕方思案

 連絡会議に昨年加わったケーブルテレビ事業の仙台CATV(仙台市)。取締役総務部長の桜井公樹さんにも話を伺いました。同社は一昨年4月に親会社がTOKAIケーブルネットワーク(静岡、TCN)に変わり、TOKAIグループのTOKAIホールディングス10周年記念事業の一環で、地域貢献事業として取り組みを始めています。

 桜井さんは「これまでの植樹期は緑を増やしていくこと。ここからは緑を育て大きくしていく。その10年の初年度から携わることになった。記録映像の収録やイベント告知の協力、報道などに取り組みたい」と話し、昨年10月の育樹会の動画も早々と作りました。コミュニティーチャンネルのほか、動画投稿サイト「ユーチューブ」でも視聴できます。

 同11月1日の開局記念日には仙台市若林区の海岸公園センターハウスに、大型テレビと電動アシスト自転車も寄贈、地域の交流に役立ててもらう考えです。「10年先を見据えて取り組みたい。緑の復活と並行し、街がなくなってしまったエリアに、この10年で新たな地域コミュニティーが育っていく様子をどう発信するか思案しています」とアイデアを練ります。

 緑を育てながら、関わる人とのつながりも育まれる「ふるさとの杜」の再生に、一緒に参加してみませんか。今年の育樹会は6月4日に始まります。
(NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター 青木ユカリ)

◎参考情報
仙台ふるさとの杜再生プロジェクト連絡会議
事 務 局 仙台市建設局百年の杜推進課
電   話 022(214)8389
電子メール ken010241@city.sendai.jp
情   報 事業概要や活動をホームページ(HP)やフェイスブックで情報発信している。「仙台ふるさとの杜再生プロジェクト」で検索。HPでは「ふるさとの杜だより」をダウンロードできる

ふるさとの杜再生プロジェクトHP(左)とプロジェクトのフェイスブックページ(中央)、育樹会の記録動画(右)のQRコード

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私たちの周りでは、たくさんの市民団体・NPOが地域課題の解決などを目指して活動しています。「認定NPO法人杜の伝言板ゆるる」と「NPO法人せんだい・みやぎNPOセンター」が交代で担当し、さまざまな団体の活動や地域課題について伝えていきます。

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