東北新幹線全線再開、仙台駅にぎわい戻る 飲食や物販、需要回復に期待

 3月16日の地震被害で一部運休していたJR東北新幹線が全線運行を再開した14日、東北の玄関口である仙台駅は約1カ月ぶりに、かつてのにぎわいを取り戻した。土産物店や飲食店ではスタッフが生き生きと接客。春の大型連休を見越し、「この時期に東京とつながった意味は大きい」と需要回復に期待する声が広がった。

東北新幹線の全線再開で、多くの客でにぎわう仙台駅構内のレストラン                     =14日午前11時20分ごろ

「ほっとした」

 「こちらに並び、もう少々お待ちください」

 駅3階の新幹線南口改札の目の前に店を構えるレストランHACHI(ハチ)では午前11時半過ぎ、早くも空席を待つビジネスマンらの列ができ、スタッフが慌ただしく対応した。

 角田秀晴社長(58)は地震後の大幅な客数減を振り返り「平日の行列は久々。ほっとした」と安堵(あんど)。客が自由に書き込めるよう店脇に置いている黒板に「Thank you 仙台!」とのメッセージを見つけ、「ここは人の流れに支えられている店。連休にかけて人の往来が回復し、こうした声がもっと増えてほしい」と願った。

 弁当のこばやしエスパル仙台店には、午前10時の開店と同時に観光客らが牛タン弁当などを求め訪れた。地震後、主力の駅弁販売は平時の2~3割に激減。ランチ向けの日替わり弁当は堅調だったが、売り上げは半減した。

 14日に用意した駅弁は地震前の8割の約80個。横嶋孝雄営業部長(44)は「キャリーバッグを引いているお客さんが明らかに増えた」と再開効果を表現した。

在庫を多めに用意

 和菓子のこだまエスパル店でも、土産物を求める買い物客がどら焼きなどを品定めしていた。同社は仙台市若林区の工場が地震で被災。人の往来が減ったのに合わせて敷いていた減産体制は徐々に元に戻す計画で、広報担当の金子由紀さんは「以前のような活気が戻ってほしい」と願った。

 新幹線中央改札近くに店を構えるお茶の井ケ田は、短縮していた営業時間を地震前に戻し、在庫も多めに用意した。駅とエスパル内の計7店を統括する東條浩樹さん(32)は「大型連休前の再開。いい風が吹いている」と笑顔を見せた。

 一方、新型コロナウイルス禍の終息が見通せず、先行きを不安視する声もくすぶった。駅のタクシープールは再開前と大差なく、客待ちの車が列をなした。

 「コロナの影響で観光の機運はまだまだ。ビジネス客の戻りもいまいち」とは太白区の運転手男性(69)。大型連休については「ふたを開けてみないと分からない。活況を願うしかない」とつぶやいた。

松島や秋保、巻き返し期す

 「キャンセル分を取り戻したい」。東北新幹線が大型連休前に全線で運行を再開した14日、宮城県内の観光業者らは首都圏などからの集客に向けて巻き返しを誓った。

 松島湾で遊覧船を運航する丸文松島汽船(塩釜市)は、地震の影響で修学旅行を中心に約3800人分の予約がキャンセル。個人旅行の利用客も落ち込んでいた。松島営業所の矢部善之所長(48)は「新幹線ダイヤは完全に元通りではないが、大型連休に向けて少しでも客足が戻ってほしい」と期待した。

 仙台市太白区の奥州秋保温泉蘭亭は地震後、宿泊予約のキャンセルが600人を超えた。松本敦総支配人(41)は「関東方面からの宿泊客は全体の2、3割を占める。当初の予定より新幹線の全線再開が早まり、明るい兆しだ」と歓迎した。

新幹線指定席は空きあり

 JR東日本は14日、大型連休期間(28日~5月8日)の東北、秋田、山形各新幹線の指定席予約状況を発表した。地震の影響で予約の受け付けは13日に始まったばかりで、例年に比べて席に余裕がある。

 予約席数はいずれも13日時点の数字で、東北は予約可能席数72万4000に対し予約席が9万2000で、予約率は12・7%となった。秋田は10万席に対して1万席で10%、山形は11万3000席に対して1万3000席で11・5%。

 混雑のピークは下りが29日と5月3日、上りは5月5日と見込まれる。

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