キハ40形「第2の職場」で現役続行 東北→関西・関東、鉄道ファンも注目

北条鉄道が導入しているキハ40形=2022年4月、兵庫県加西市

 昭和から平成にかけての約40年間にわたり東北のJR各線を走っていた気動車が、「第2の職場」の関西や関東のローカル鉄道で現役を続けている。重厚感ある大型の車体、ボックス席が並んだ懐かしい車内が全国の鉄道ファンの注目も集めている。(編集局コンテンツセンター・藤沢和久)

「土崎工場」(秋田市、現JR秋田総合車両センター)など、東北を走っていた時代の記録が車両に残る北条鉄道のキハ40形=2022年4月

 兵庫県播磨地方の小野市と加西市を結ぶ第三セクター北条鉄道(加西市)。この3月に運行を開始したばかりの車両に「キハ40」の文字が見える。

 旧国鉄の称号規程に基づく気動車の「キ」と、普通車(3等車)の「ハ」。1979年の製造で、2021年3月までJR五能線など青森、秋田両県を走っていた。

 北条鉄道が通勤時間帯の増発・増結のためJRから払い下げを受けた。ローカル線にとって「億単位の費用が必要」(同社)な新車導入は難しい。既存の車両と同じ00年前後に製造された中古で、納車時期といった条件が合致する車両もなかった。

 キハ40形は1977年~82年、旧国鉄がローカル線普通列車用に導入した。従来の気動車と比べて車体が大きく、座席の間隔や幅が広い。特に寒冷地仕様車は空気バネ台車や温風暖房が付き、快適になった。

旧国鉄丸森線(現阿武隈急行)を走るキハ40形=1986年6月、宮城県角田市

 1978年2月9日の河北新報によると車両価格は8800万円で「奥羽線の特急『つばさ』に使われていたキハ181形に次ぐ高価な車両」だった。北条鉄道総務企画部長の藤井秀明さん(60)は「重量感があり、これまでの車両より乗り心地がいい」と太鼓判を押す。

 JR時代にエンジンなどが更新されたとはいえ、車両の運搬費やワンマン運転への改造などに2900万円かかることから、株主の加西市からは費用対効果を疑問視する声も出た。

 同社は導入費の足しに昨年9、10月、クラウドファンディングを実施した。目標とした300万円を1日で達成し、最終的に940人から約1300万円を集めた。「鉄道ファンの人気はすごい」と藤井さんは目を丸くする。

 ファンの期待に応え、内外装は極力JR時代のままにした。車体の色はクリーム地に青帯で、秋田車両センターの所属を示す「秋アキ」の文字もある。車内には東北の路線図やコロナ対策を呼び掛ける青森県のポスターが残る。

五能線を走っていた当時のキハ40形=2012年2月、青森県板柳町の板柳駅

 東京湾の沿岸と房総半島の内陸部を結ぶ私鉄の小湊鉄道(千葉県市原市)も五能線や只見線(福島、新潟両県)を走行していた5両を購入。ブレーキなどの整備が済んだ2両が運行中で、3両も年内に走り始める見通しだ。

 製造から60年以上が経過している従来の車両より新しく、乗客の評判は上々だという。同社広報担当の広田尚土さん(29)は「馬力があり、エアコンの効きもいい」と評価する。

 両社とも、昭和末期―平成のローカル線を象徴するキハ40形に全国各地から鉄道ファンや観光客を呼び込む効果も期待する。藤井さんは「イベント列車や貸し切り運行もある。コロナ禍が収束したらぜひ乗りに来てほしい」と呼び掛ける。

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