「記憶の素描」(7)鳥の季節に-石沢麻依(芥川賞作家)
3月の終わりに夏時間が始まった頃から、昼が夜を押しやるようになってきた。夜8時過ぎになってようやく陽(ひ)が沈むが、長い夕暮れはどこか白いという印象を帯びている。日没時には、温かな橙(だいだい)と黄金の色彩が空を占めようとも、引き延ばされた黄昏(たそがれ)までの時間はどこまでも白く、その白は絵画の…
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