全盲の英語教員、2年目の教壇 仙台・小椋さん「普通に働く姿見せたい」

 仙台市教委が2021年度に全盲の英語教員として初採用した小椋汐里さん(23)が台原中(青葉区)で2年目の教壇に立っている。「障害者が普通に社会で働く姿を生徒に見せたい」という小椋さんと学校の思いは、着実に浸透している。

英語の授業をする小椋さん=4月下旬、台原中

きっかけは「赤毛のアン」

 福島県会津若松市生まれの小椋さんは目の病気で、5歳で全盲になった。英語に携わる仕事を志したのは高校時代、カナダへの家族旅行で憧れの小説「赤毛のアン」の舞台を訪れたのがきっかけだ。「英語で現地の人と話し、世界が一気に広がった。多くの若い人に同じ感激を味わってもらいたいと思うようになった」と振り返る。

 進学先の東北学院大では、文字ファイルの資料を音声や点字に変換して授業に臨んだ。「障害者は普通に社会に出て生きられることを子どもたちに示し、接し方も学んでもらいたい」と考え、普通学級の教員になる道を選んだ。

 教育実習を受け入れた台原中が、そのまま初任校となった。白杖(はくじょう)を手に地下鉄で通勤し、校内も自在に移動する。授業は別の英語教員と2人1組で行う。

 文字盤と針を指先で確認できる時計で時間配分しながら授業を進める。生徒の大半は視覚障害者と接するのが初めて。2年の男子生徒(13)は「どんな授業をするのか少し不安だったが、英語の発音を上手に教えてくれた。声だけでどの生徒か分かるのは、すごい。努力していると思う」と話す。

 少しずつ接し方を覚えた生徒たちは、階段で「後ろの左から通ります」と伝えるなど、その場に応じた適切な行動を自ら考えるようになったという。

明るさと努力で道切り開く

 試行錯誤は今も続く。小椋さんは教師1年目の昨年度、補助役の教員にプリント配りや板書などを手伝ってもらった。補助ではむしろ相手の教員の負担が重いため、本年度は小椋さんが主にリスニングと会話、もう一人が教科書の説明や筆記、作文と担当を分けた。

 「周囲の先生方はみんな忙しく、相談するタイミングが難しい」(小椋さん)という事情を抱える。単独での家庭訪問や災害時の生徒の避難誘導など物理的に困難な行動も存在する。それでも新妻英敏校長は「障害のある先生の教育的効果は大きい。本校から一つの形を発信したい」と意気込む。

 持ち前の明るさと努力で道を切り開いてきた小椋さんも「生徒が何でも話せる教師になりたい。私に対してなら話せることも、きっとあるはずだ」と前向きさを失わない。

[メモ]政府は2019年策定の障害者活躍推進プランで「学校現場に障害のある教師がいることは、障害のある人への知識が深まる」と貴重な教育資源に位置付ける。一方で都道府県教委職員全体に占める障害者の割合(19年)は障害者雇用促進法が義務付ける雇用率2・4%(当時、現行は2・5%)に対し1・9%。事務職員は全体の7・4%と高いが、教員は1・3%にとどまる。

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