温泉の廃湯熱でカカオ栽培、高級チョコで地域活性化目指す

温泉の廃湯熱を利用したハウスで、カカオの苗木の成長を見守る担当者

 宮城県川崎町の青根温泉で旅館を経営する「坊源」は、持続可能なライフスタイルの実現を目指す町内の「合同会社百(もも)」などと連携し、温泉の廃湯熱を利用したカカオの温室栽培に挑戦している。環境に配慮して育てたカカオを原料にした高級チョコレートをブランド化し、青根温泉地域の活性化を狙う。4年後までの収穫と商品化を目指す。

宮城・青根、歴代の伊達藩主が愛用

 日本人で初めてチョコレートを口にしたとされる町ゆかりの支倉常長の逸話にちなみ、カカオを選んだ。カカオの生産は全国で3例あるが、東北では初めてという。

 廃棄される湯熱の利活用で、熱帯植物の栽培に必要とされる高温多湿な環境を安定的に整える。約2年前からカカオが生育できるかどうかの実証実験を行い、2月末に事業を始めた。百が日常の管理・運用を担い、東北大や建設業の馬渕工業所(仙台市)もシステム開発やデータ分析などで協力する。

 旅館の敷地内に設置したビニールハウス1棟に、旅館棟から36~38度の廃湯をパイプで引き込んで中央の水路に流し、ハウス内を常時15度以上に保つ。外気が氷点下となる冬場には、町内で仕入れたまきをたいて足りない温度を補う。

 ハウスの床面積は約26・3平方メートル。高さは一般的なカカオの成木を想定し4メートルにした。機器の不具合で発育不全に陥らないよう、室内の環境をリアルタイムで把握できる遠隔システムを採用する。

 8本の苗を育て、年間24キロの収穫量を見込む。チョコレートは贈答用で利用されるような高級品を目指し、町内での製造を想定しているという。

 青根温泉は、歴代の伊達藩主が愛用した由緒ある温泉地。最盛期の1970年ごろには10軒ほどの旅館があったが、現在は5軒と半減した。

 坊源の原華織総支配人(44)は「捨てられる自然資源でワクワクする目玉商品を開発する。青根と旅館業を盛り上げたい」と意気込む。ブランド化で宿泊客を呼び込み、ゆくゆくはカカオの摘み取り作業で町内の障害者を雇いたいという。

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