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芒種、啓蟄、霜降、読めますか? 身近な暦「二十四節気」の意味を知ろう

 季節の移り変わりを示す言葉に「二十四節気(にじゅうしせっき)」があります。春夏秋冬をそれぞれ六つずつに分け、「立春」「雨水」などと漢字2字で表現しているのが特徴です。新聞でも季節感を象徴するような写真とともに記事が掲載されることが多く、身近な暦と言えるでしょう。二十四節気の意味を知り、暮らしの中で季節の変化を楽しんでみませんか。(編集局コンテンツセンター・小沢一成)

二十四節気と地球、太陽の位置関係(仙台市天文台提供)

 国立天文台の公式サイトによると、二十四節気の時期と意味は次の通りです。

【春】立春~春分~穀雨

▽立春(りっしゅん) 2月4日ごろ。寒さも峠を越え、春の気配が感じられる。

【立春】青天の下で咲き始めた梅の花=2022年2月4日、仙台市宮城野区の榴岡天満宮

▽雨水(うすい) 2月19日ごろ。陽気が良くなり、雪や氷が溶けて水になり、雪が雨に変わる。

▽啓蟄(けいちつ) 3月5日ごろ。冬ごもりしていた地中の虫がはい出てくる。

【啓蟄】青空の下、土手から顔を出したツクシ=2022年3月5日、仙台市若林区

▽春分(しゅんぶん) 3月21日ごろ。太陽が真東から昇って真西に沈み、昼夜がほぼ等しくなる。

▽清明(せいめい) 4月5日ごろ。全てのものが生き生きとして、清らかに見える。

▽穀雨(こくう) 4月20日ごろ。穀物を潤す春雨が降る。

【夏】立夏~夏至~大暑

▽立夏(りっか) 5月5日ごろ。夏の気配が感じられる。

▽小満(しょうまん) 5月21日ごろ。全てのものが次第に伸びて天地に満ち始める。

【小満】しっとりと雨にぬれ、咲きそろったアヤメ=2021年5月21日、仙台市太白区の市野草園

▽芒種(ぼうしゅ) 6月6日ごろ。稲などの穀物を植える。

▽夏至(げし) 6月21日ごろ。昼の長さが最も長くなる。

【夏至】朝の雨にしっとりぬれたアジサイが、時折差し込む日差しに輝いた=2019年6月22日、仙台市青葉区の錦町公園

▽小暑(しょうしょ) 7月7日ごろ。暑気に入り梅雨の明ける頃。

▽大暑(たいしょ) 7月23日ごろ。夏の暑さが最も極まる頃。

【秋】立秋~秋分~霜降

▽立秋(りっしゅう) 8月8日ごろ。秋の気配が感じられる。

▽処暑(しょしょ) 8月23日ごろ。暑さが収まる頃。

【処暑】秋の気配を感じさせる空の下で風に揺れるススキ=2021年8月23日、仙台市泉区

▽白露(はくろ) 9月8日ごろ。白つゆが草に宿る。

【白露】広瀬川河畔の遊歩道沿いではコスモスが秋を告げていた=2021年9月7日、仙台市若林区

▽秋分(しゅうぶん) 9月23日ごろ。秋の彼岸の中日、昼夜がほぼ等しくなる。

▽寒露(かんろ) 10月8日ごろ。秋が深まり、野草に冷たいつゆが結ぶ。

▽霜降(そうこう) 10月24日ごろ。霜が降りる頃。

【冬】立冬~冬至~大寒

▽立冬(りっとう) 11月7日ごろ。冬の気配が感じられる。

【立冬】じゅうたんのように落ち葉が敷き詰められた公園で、葉っぱ遊びを楽しむ子どもたち=2019年11月8日、仙台市青葉区の勝山公園

▽小雪(しょうせつ) 11月22日ごろ。寒くなって雨が雪になる。

▽大雪(たいせつ) 12月7日ごろ。雪がいよいよ降り積もってくる。

▽冬至(とうじ) 12月21日ごろ。昼が一年中で一番短くなる。

▽小寒(しょうかん) 1月5日ごろ。寒の入りで、寒気が増してくる。

【小寒】続く寒さで伸びた民家軒先のつらら=2022年1月5日、仙台市太白区

▽大寒(だいかん) 1月21日ごろ。冷気が極まって、最も寒さが募る。

国立天文台が日付決定、毎年2月1日に翌年分を官報で発表

 二十四節気の日付は、国立天文台が前年2月1日の官報に掲載する「暦要項」で発表されます。年によって1日ほど前後することがあります。

 二十四節気はどのように決められているのでしょうか。仙台市天文台によると、太陽の見かけ上の通り道「黄道」が、地球の赤道を天までずっと延長した「天の赤道」と交わる二つの点を「春分点」「秋分点」とし、太陽が春分点を通過する瞬間を二十四節気の一つ「春分」としています。春分点を基準に太陽が黄道上を15度移動すると、二十四節気が次に移ります。

 仙台市天文台の学芸員高橋知也さん(27)は「地球は太陽の周りを公転していますが、軌道はきれいな円形でなく、楕円(だえん)形です。地球と太陽の距離によって見かけ上のスピードが変わるため、二十四節気のそれぞれの期間も変わってきます。冬が短く、夏が長いのはそのためです」と説明。春分の日から秋分の日まではおよそ186日で、1年の半分(182・5日)より少し長くなっています。

黄道と天の赤道などの位置関係(仙台市天文台提供)

古代中国で生まれ、日本に伝来

 季節はなぜ移り変わるのでしょうか。「大きな要因は太陽の高さにあります。地球から見て太陽の位置が高い夏は、光が狭い面積に集中するため暑くなります。太陽が低くなる冬は光が分散し、温度が低くなるのです」と高橋さん。太陽の高さが変わるのは、地球が自転軸(北極点と南極点を結ぶ直線)を傾けたまま公転しているからです。

 古代中国で生まれ、日本に伝来したとされる二十四節気。立春が2月4日ごろ、立秋が8月8日ごろなどと、東北の季節感とずれているように感じるのは正直な思いでしょう。

 高橋さんは「時代の違いや地域差があり(今の季節感とは)合わないですよね」と苦笑い。それでも国内で定着しているのは「冬至にカボチャを食べるなど、風習と関連付けて伝わってきたからでしょうか。もしくは、1カ月だと季節変化としては長過ぎるのかもしれないし、(二十四節気を細分化した)七十二候ではテンポが速過ぎたのかもしれない。2週間ほどで変わる二十四節気がちょうどいいペースだったのかもしれませんね」と推し量ります。

冬至の時期は、低い太陽から注いだ日差しで人影が伸びる=2021年12月22日、仙台市青葉区

 最後に、高橋さんは「夏至や冬至の頃に太陽の高さや影の長さを実感してほしい。昔の人はこういうところから天体観測を始めたのかなと思いをはせてほしい」と語りました。

 時候のあいさつや俳句の季語などでも使われる二十四節気。まずはカレンダーで次の二十四節気を確かめてみませんか。

季節はなぜ移り変わる? 仙台市天文台の模型で学ぶ

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