生理不順、痛み、貧血… 東北公済病院の女性アスリート外来、「駆け込み寺」に

 東北公済病院(仙台市青葉区)の「女性アスリート外来」が、心身の不調に悩む女性競技者の「駆け込み寺」として定着している。2018年12月の開設以来、中高の部活動などで活躍する女子生徒らの診察に当たってきた。担当医らは「心身をすり減らしてプレーする選手を一人でもなくしたい」と話す。

患者の女子高校生の話を聞く星合さん(中央)と中川さん(右)=4月、東北公済病院

女性医師ら奮闘 保護者への啓発も

 東北公済病院によると、女性アスリート向けの専門外来は全国的に珍しい。東北では21年4月、弘前大病院(弘前市)にも設けられている。

 東北公済病院の担当医は産婦人科の星合香さん(47)。サッカー女子プロ、WEリーグマイナビ仙台のチームドクターも務める。診察は週1回。年30人ほどの新規患者に対応している。

 「生理の不順や痛みに耐えてプレーし続ける中高生からの相談が多い。彼女たちの笑顔を取り戻してあげたい」。外来開設は星合さんが病院側に働きかけて実現した。

 診察では、管理栄養士の中川さよ子さん(34)と連携して栄養指導に力を入れている。事前に身長、体重、日々の練習量などの基礎データを把握。患者に1週間分の食事を全てスマートフォンで撮影、送信してもらい、栄養の過不足をチェックする。

 女性選手には無月経など「FAT」の懸念が付きまとう。「食事を巡る患者、家族の悩みは大きい。強い体をつくる食生活に向けて具体的に提案していきたい」と中川さん。患者に糖質、タンパク質、脂質などをバランスよく摂取するよう求める。

 生理痛を抑えるため、欧米のスポーツ界では低用量ピルが普及している。だが国内では副作用を心配する人が多く、「ドーピングになる」などの誤解もあるという。星合さんは丁寧な説明を心がけ、適切な処方に努めている。

 専門的な知見に基づいたアドバイスは患者にも好評だ。長女(16)が高校のバスケットボール部に所属する女性(39)は「『痛いときは休んで』ではなく、痛みに対処しつつ競技を続ける方法を提示してくれるので信頼できる」と話す。

 「最新の医療や情報に触れやすいエリートクラスよりも、一般の部活レベルの子どもたちの栄養状態が心配だ。保護者、指導者への啓発にも努めたい」と星合さん。貧血が続くなどした場合の受診を強く勧めている。

[FAT] 「Female Athlete Triad」(女性アスリートが陥りやすい三つの障害)の頭文字。練習にエネルギーの大半が使われることによる①生命活動や発育に必要な栄養の不足②無月経③女性ホルモン減少による骨密度の低下(骨粗しょう症)―を指す。順天堂大の研究報告によると、日本の中高生アスリートの約8割にFATの危険性がある。

関連タグ

河北新報のメルマガ登録はこちら

企画特集

先頭に戻る