23日は「難病の日」 増える働く患者、企業側の理解と支援不可欠

 23日は難病医療法の成立を記念した「難病の日」。医療の進歩で働く難病患者が増え、治療と仕事の両立支援のニーズが近年高まる。職場の協力が不可欠だが、当事者団体は「企業側の理解が進んでいない」と課題を訴え、障害者手帳のない難病患者の雇用義務化を求めている。(報道部・片山佐和子)

症状の変化大きく

 宮城県東松島市の会社員熊谷有嗣(ともつぐ)さん(32)は3年前、腰や背中に激痛が広がり、休職して入退院を繰り返した。関節などに炎症やこわばりが生じる国指定難病の強直性脊椎炎だった。医療費助成の認定を昨年受け、「多額の医療費に悩んでいたので安心した」と治療しながら働く。

 外見は健康そうだが、常に体が痛む。症状は一定せず、問題なく働ける時も寝たきりの時もある。通院などに配慮してくれる上司や同僚に感謝しつつ「職場への申し訳なさと休職による減収の心配を、いつも抱える」と打ち明ける。

 国設置の障害者職業総合センターの調査研究(2015年)によると、難病患者の約7割は就労を経験。うち約半数は体力的に無理をしたり職場の配慮がなかったりして離職した経験があった。

 宮城県難病相談支援センターと仙台市難病サポートセンターは21年度、就労関連の相談を計延べ196件受けた。大半は障害者手帳がなく「治療に専念したいが生活できない」「病気を隠して働き、離職を繰り返す」など切実な声が多い。

合理的配慮を義務付け

 障害者雇用枠は支援が手厚いが、難病に多い症状の変動や痛みなどは障害認定を受けづらい。市のセンターの担当者は「複合的な悩みも多く、多様な支援機関との連携が要る」と話す。

 障害者雇用促進法は企業に難病患者への「合理的配慮」を義務付ける。仕事と治療の両立を支える宮城産業保健総合支援センターは「時短勤務の整備など無理なく働ける環境づくりが欠かせない」と指摘する。

 日本難病・疾病団体協議会(東京)は障害者手帳のない難病患者を、法定雇用率の対象に加えるよう国に求めている。山崎洋一副代表理事(秋田市)は「難病は大変な病気との先入観が雇用側に根強く、就労の壁は厚い。雇用義務化は働く患者を守り、企業の理解も後押しする」と強調する。

 厚生労働省の労働政策審議会分科会は、雇用率制度の見直しに関する意見書を6月ごろにまとめる。同省によると、手帳のない難病患者への対象拡大は「症状などの個人差が大きく、一律に就労困難と認めるのは現状難しい」として検討を継続する方向という。

[難病医療法]2015年1月施行。難病患者への医療費助成を定める。対象疾患は(1)原因不明(2)治療法が未確立(3)患者数が人口の0.1%程度以下-など。現在の疾患数は338。東北の助成受給者は20年度末で約7万1000人。

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