「いのちの電話」相談員不足深刻 コロナ禍、芸能人死去… 重要性一段と増す

 自殺防止の相談に当たる社会福祉法人仙台いのちの電話(仙台市)が、相談員の確保に苦慮している。高齢化で相談員が減り続け、現在はピーク時の6割程度にとどまる一方、新型コロナウイルス禍や芸能人の死去で電話は鳴りやまない。法人は「話を聞くだけで人を救える」「命の最後のとりで」と重要性が増す電話の役割を強調し、相談員を募っている。

自殺を防ぐため、相談者の心に寄り添う仙台いのちの電話の相談員

 「死にたい」「寝られないし、つらい」

 仙台市の事務所には連日、苦境を訴える電話が相次ぐ。対応中の相談員の電話は、着信を告げるランプが何回も点灯。「手が回らず電話を受けきれない」と、坂本陽一事務局長(67)は申し訳なさそうに話す。

 いのちの電話は年中無休の24時間体制。仙台市内のセンターに加え、東日本大震災後は石巻市に分室を開設し、電話などで悩み相談に応じる。

 4月末現在の相談員数は153人。ピークの2011年には242人いたが、高齢で体力的にきつくなったり身内の介護が必要になったりして引退が増えた。

 日中に3人の相談員配置が理想だが、現在は1人か2人で対応することが多い。新型コロナ感染が不安で休む相談員もおり、シフトの確保は困難を極めている。

 少ない相談員とは対照的に、相談の需要は高まっている。

 「コロナで売り上げが減り、倒産や解雇が不安」「家族がコロナに敏感で生活しづらい」。20年以降、新型コロナに関する相談が増えた。生活環境の変化に対応できない苦しみや社会との隔絶、ワクチン接種の不安など内容もさまざまだ。60代の男性相談員は「こんな時こそ万全の態勢で対応したいがかなわず、もどかしい」と打ち明ける。

自殺防ぐ「最後のとりで」

 人気お笑いトリオ「ダチョウ倶楽部」のメンバー上島竜兵さんが今月亡くなると、さらに頻繁に電話がかかるようになった。著名人の死は動揺を与えるとされ、伝える新聞記事の末尾などには、いのちの電話の連絡先が記載されている。

 多い日は約50件の相談があり、「受けられない数も含めると、その倍ほどの着信がある」(坂本事務局長)という。

 相談者の精神面をサポートする相談員になるには、1年4カ月間の研修を受け心理学などを学ぶ必要がある。坂本事務局長は「いのちの電話は自殺を防ぐ最後のとりで。主婦や退職者らにも相談員になってもらい、意義を感じてほしい」と話す。

 29日午後3時から仙台市福祉プラザで公開講座を開く。参加無料だが、申し込みが必要。連絡先はいのちの電話事務局022(718)4401。

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