高校生の「探究学習」活発 気仙沼、復興まちづくりが意欲を刺激

高校生が学習成果を発表した「気仙沼の高校生マイプロジェクトアワード」=昨年12月、気仙沼市

 宮城県気仙沼市で高校生の探究型学習が活発だ。東日本大震災後に移住者の支援などで機運が高まり、教育現場も本年度開始の探究を重視する新学習指導要領を見据えてきた。生徒が学習成果を披露する市主催のコンテストは年々盛り上がり、主体的な学びの先進地として注目されそうだ。(気仙沼総局・鈴木悠太)

 市は2017年から人材育成の一環として、身の回りや地域の課題について探究し、解決策やその実践結果を発表する「気仙沼の高校生マイプロジェクトアワード」を開催している。

 地域振興や防災、環境問題、LGBTQ(性的少数者)などテーマは多彩。掘り下げた成果を趣向を凝らしプレゼンテーションする。初回の参加者は10人以下だったが、5回目の昨年12月は32組40人が臨んだ。

 参加した生徒は成長を実感する。昨年のアワードで震災伝承の新手法を提言した気仙沼高2年岩槻佳桜(かお)さん(17)は「意識が主体的になり、先生の意図を考え効率的に授業に臨めるようになった」と話す。

 街のにぎわい創出を図る若者組織の設立を宣言し、実現させた同校2年遠藤光大さん(16)は「視野が広がった。自分が動けば何かを変えられるという実感が得られた」と笑顔だ。

学習テーマについて意見を交わす遠藤さん(左から2人目)、岩槻さん(同3人目)ら=気仙沼市まち・ひと・しごと交流プラザ

 市のアワードとは別に、気仙沼の生徒は4年連続で「全国高校生マイプロジェクトアワード」(実行委員会主催)の全国サミットに出場。1万人規模の参加で地域予選を突破した約50組が集う場で、13、19年度は最高賞を受賞した。

 「復興まちづくりのエネルギーが若者の課題解決の意欲を刺激した」と、市のアワード運営や高校生への助言に携わる一般社団法人「まるオフィス」代表理事加藤拓馬さん(33)は分析する。「人口減少など地域課題が山積し、若者を支援する移住者が多い気仙沼は絶好の学び場。先進地になれる」とみる。

 学校も新たな学びを積極的に後押ししてきた。気仙沼高は17年度、普通科の人文、理数の両類型に加え、探究型の授業を重視する「創造類型」を新設。学習成果の発表会では毎年、学校が文化祭のような熱気に包まれる。

 来年度には類型を再編し、全類型で探究の比重を高める。市教委は20年度から中学生の学習を支える「探究学習コーディネーター」を配置しており、学びの中高連携もスムーズだ。

 気仙沼高で探究型学習を主導する鈴木悠生教諭(36)は「進学に直結したケースもあり手応えを感じている。さらに指導法を磨き、教科学習にも効果を波及させたい」と意気込む。

[新学習指導要領]「主体的・対話的で深い学び」を掲げて本年度から高校で始まった。課題を見つけ解決策を考える授業を重視。科目再編で「古典探究」「世界史探究」などが新設され、「総合的な学習の時間」は「総合的な探究の時間」となった。小学校は2020年度、中学校は21年度から実施されている。

「中高生の問いストーリー」の一場面

学習事例、漫画で分かりやすく

 気仙沼市の一般社団法人「まるオフィス」は学習事例を漫画にした「中高生の問いストーリー」をインターネットで公開している。

 生徒がテーマを選んだきっかけや調査時の試行錯誤、成果などを柔らかいタッチで描く。気仙沼特産のサメの加工品開発や、技能実習生の防災の充実を図った事例など現在6話で、夏までに全12話を掲載する。

 まるオフィスの三浦亜美さん(26)は「まだ探究学習をイメージしにくい人にも分かりやすく事例を伝えたい」と話す。サイトはまるオフィスのホームページなどから見られる。

「まるオフィス」のホームページ
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