市民センター、年度末の色紙(いろがみ)大量購入なぜ?
「年度末になると市民センターに大量の紙が搬入される。古い物が残っているのに」。予算の無駄遣いを疑う仙台市の50代男性から「読者とともに 特別報道室」に情報提供があった。記者がセンターの倉庫に入ると男性の指摘通り、膨大な色紙(いろがみ)の束が眠っていた。
運営団体「広報、チラシに使用。予備として多めに」時期変更も検討
計60の市民センターを運営する市の外郭団体「仙台ひと・まち交流財団」の情報公開規定を利用して入手した売買契約書によると、財団は2017~21年度の5年間、宮城野区に拠点がある和洋紙販売会社(山形市)から235万365~175万8823円分のA4判の色紙を購入。部数は172万4000~91万4000枚に上る。
契約日は毎年度3月半ばに集中し、同社が年度内に各館へ納入。各館ごとに買うコピー用紙の発注日が各月に分散しているのと対照的だ。色紙の消費実績を示す文書の開示も求めたが、「存在しない」との回答だった。
開示内容を踏まえ、財団を取材。担当者は(1)色紙は各館の広報紙や講座参加者募集のチラシに使う(2)経費節減のため各館から必要量を聞き取って一括購入する(3)新型コロナウイルス禍で講座がなくなり、残部が出た(4)古い色紙の中には併設の児童館や町内会などの所有物もある-と説明した。
財団職員立ち会いの下、青葉区の中山市民センターで実際の保管状況を確認させてもらった。倉庫の入り口脇の棚は上から下まで「1締(しめ)」と呼ばれる千枚ずつの束でびっしり。使い古しを含め大量の色紙が積み上げられた場所もある。
無駄遣いじゃない?「予算執行は適正」
契約書上、同センターには21年度末に1万枚搬入されたが、それ以上あるのは明らかだ。佐藤智則館長は「広報紙やチラシで月に千枚は出ていく。コロナ禍で講座がなくなり余ったのは確かだが、いずれ使うし、予備として多めに欲しい」と説明。数年前に納入されたとみられる古い色紙は「児童館の物」と強調した。
一方、財団の担当者は「色紙は必ず使うので、各館の講座の予算が浮くと色紙を買うこともあった」と明かした。予算執行は適正としながらも年度末の大量搬入は誤解を招くとして、購入時期の変更などを検討するという。
財団はセンターの指定管理者。色紙は市が支払う指定管理料で購入する。(桜田賢一)
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