「完全に狂っていた」 オンラインカジノにのめり込んだ男性、恐ろしさ語る

 山口県阿武町の4630万円誤給付問題を受け、オンラインカジノに注目が集まっている。逮捕された男が金を「オンラインカジノに使った」と供述しているためだ。過去にのめり込んだ秋田県横手市出身の男性(40)が河北新報社の取材に応じ「毎日カジノのことを考えていた。完全に狂っていた」とギャンブル依存症を誘発するオンラインカジノの恐ろしさを語った。

 「初回無料ボーナス」

 元々ギャンブル好きだった男性がオンラインカジノを誘うネット広告を見たのは4年前。「無料」という言葉にひかれ、軽い気持ちで登録した。

 初めてやったのはスロット。絵柄がそろうごとに配当金がみるみる増えるゲーム性のとりこになった。ポーカーやバカラ、ルーレットなどさまざまなメニューにも手を出した。

 競馬もパチスロも好きだったが、オンラインカジノの射幸性はそれらを超えていた。1000円の元手が、1回で十数万円になることもあった。「勝敗が一瞬で決まる。賭け金が何倍にも、ゼロにもなる波の荒さに夢中になった」。スマートフォン一つでどこでも賭けられるのも魅力だった。

オンラインカジノにはまり、借金を重ねた当時を語る男性

スリルと手軽さ、生活むしばむ

 スリルと手軽さは、一方で男性の生活をむしばんだ。仕事中も家族といる時も、運転中もカジノをしていた。「24時間できるので止められない。それがオンラインカジノの怖いところ」。勝っても全額をつぎ込み、負ければ賭け金を上げて取り返そうとした。

 消費者金融から借りられなくなると、ヤミ金融にも手を出した。職場に「車を買う」とうそをつき、160万円を借りたこともあった。「カジノで借金返済しようと焦っていた。最後は苦しくて仕方なかった」。ギャンブルでの借金総額が約1600万円に上った2年前、家族の勧めで山梨県のギャンブル依存症回復施設「グレイス・ロード」に入った。

 阿武町の誤給付問題では、逮捕された男が入金から10日あまりで4630万円の大金を使い切ったとされる。そんな短期間で可能なのか。

 男性は取材に「オンラインカジノであれば可能だ」と断言した。その上で「もし自分が振り込まれていたら、同じように使い込んでしまっていたかもしれない」と語った。

規制強化、依存者や家族への支援充実を

 オンラインカジノは新型コロナウイルス禍の外出自粛などの影響もあり、若者を中心に依存者が増えている。

 公益社団法人ギャンブル依存症問題を考える会(東京)によると、2020年に8件だった相談件数は21年は20件に増え、22年は5月20日時点で15件の相談が寄せられている。うち6割が20代で、借金額が「1000万円以上」や「数え切れない」といった声もあった。

 日本では公営ギャンブル以外の賭博行為は違法。しかし、カジノのサイトは海外に拠点を置く企業が日本向けに開設し、野放しとなっている。

 考える会の田中紀子代表は「オンラインカジノは賭ける金額や時間の際限がなく、借金額も依存症になるスピードも桁違いだ」と指摘。「『グレーゾーン』というネットの声をうのみにして違法だと知らない人が多い。国は違法性を周知し規制を強化するとともに、依存者や家族への支援を充実させる必要がある」と訴える。

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