(299)泣き出せば押し寄せて来る夏の山/永瀬 十悟(1953年~)
俳句には自然との存問のような性格がある。泣きたいとき、思わず涙が溢(あふ)れたとき、感情の波が青々とした山から押し寄せてくるようだ。山にまつわる季題は、秋は「山粧ふ」、冬は「山眠る」、夏は「山滴る」…
関連リンク
- ・(298)雨粒を涼しく濡らす雨なりけり/安里 琉太(1994年~)
- ・(297)夏草をはがし太古の遺跡掘る/大関靖博(1948年~)
- ・(296)朴散華即ち知れぬ行方かな/川端茅舎(1897~1941年)
- ・(295)戦死せり三十二枚の歯をそろへ/藤木 清子(生没年不明)
- ・(294)逢ひたくて蛍袋に灯をともす/岩淵喜代子(1936年~)
「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。