7年ぶりの節電要請 無理せず、工夫で乗り切ろう 社説(6/20)

 政府は今夏と今冬に電力不足が見込まれるとして、2015年以来7年ぶりに全国規模の節電を要請した。家庭と企業に求めた夏場の節電期間は7月1日~9月30日で、数値目標は定めていない。不測の大規模停電で生活や経済活動に支障が出ないよう、体調管理に気を配りつつ、あらゆる工夫を試みたい。

 電力の安定供給のために必要な余力を示す予備率は最低3%とされる。政府の需給見通しによれば、10年に1度の猛暑を想定した場合、東北、東京、中部3電力管内の7月の数値は3・1%となる。

 冬季はさらに厳しい状況が予想される。10年に1度の寒波に見舞われると、東電管内は来年1、2月、需要が供給を上回る事態が生じると見込まれる。中部から九州までの6電力管内も同期間、余力が3%を下回るとみている。

 太陽光を中心に再生可能エネルギーの導入は進んでいるものの、冬場の発電量、供給力は確実に落ちるからだ。

 ここで、電力の需要と供給の変化を押さえておきたい。

 東日本大震災後、徹底した節電で右肩下がりだった夏季の需要はここ数年、増加傾向にある。背景には、新型コロナウイルス流行に伴う生活様式の変化があるとみられる。

 「3密」を回避するための行動抑制で巣ごもりや在宅勤務が奨励され、家庭の電力需要が高まった。特に冷暖房のニーズが増える時期、顕著だったことは言うまでもない。

 一方、供給面では脱炭素の潮流から火力発電所の休廃止が加速した。さらに、3月の福島県沖地震で被災した火力発電所の稼働停止の長期化も懸念される。

 ロシアのウクライナ侵攻という新たなリスク要因も見逃せない。世界各国による非ロシア産エネルギー争奪戦の激化から、燃料の安定調達ができない恐れも生じている。

 政府は供給対策として、休止した古い火力発電の稼働や液化天然ガス(LNG)など発電燃料の追加調達の促進、再エネや安全性が確保された原発の最大活用を挙げる。

 震災以来、電力の供給体制が脆弱(ぜいじゃく)になったとはいえ、原発事故の後遺症は大きい。原発の再稼働は慎重の上にも慎重であるべきだ。

 また、国内では発電の安全性を前提に経済効率、環境への配慮が重要視されてきた。同様に安定供給という要素にも留意しなければならない。

 需要面で配慮を求められるのが、時間帯別の需給バランスや使用ピークの分散化だ。太陽光の発電量が下がる夕刻以降は積極的に節電に励みたい。自動車への充電時間帯の調整といった対応も有効だ。

 熱中症に注意しながらエアコンの設定温度を上げたり冷蔵庫の開閉を少なくしたりすることでもいい。カーテンやブラインドの活用、照明機器の間引きはぜひ取り組もう。国は国民や企業のインセンティブを高める必要がある。

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