「幻のメロン」クールボジャ今年限り 岩沼の生産組合、高齢化で生産断念

クールボジャメロンを収穫する宍戸組合長

 宮城県岩沼市の押分(おしわけ)地区で「幻のメロン」と呼ばれるクールボジャメロンを生産している相野釜ハウス園芸組合が、今年限りで生産を終了する。東日本大震災を乗り越えて栽培を続けたが、高齢化に伴って決断した。出荷は今が最盛期。復興支援への感謝の気持ちも込めて全国に発送する。

「幻のメロン」と呼ばれるクールボジャ

強い甘み、少ないえぐみ

 70~85歳の農家7人による出荷作業は11日に始まった。今月末まで続き、北海道から九州まで多くのファンに約1500箱が直送される。既に完売しており、「これまで続けられたのはお客さまと全国の支援のおかげ」と宍戸繁組合長(73)が話す。

 甘みが強く、メロン特有のえぐみが少ないクールボジャは愛知県で開発された品種。栽培の難しさから今では岩沼、名取両市の一部だけで生産されている。

 組合は1970年代前半に相野釜地区で生産を始めた。震災の津波で資機材が流されたが、その年に約3キロ内陸の押分地区の土地を借り受け、2012年に栽培を再開した。ビニールハウスやボランティアの支援も受け、市の農業再興の象徴的存在だった。

メロンを箱詰めする生産者たち

惜しむ声相次ぐ

 ハウス19棟で栽培してきたが、今年はうち7棟を解体した。仲間の高齢化もあってメロン生産を最後にする。買い求めるファンからは「手伝いに行くからぜひ続けてほしい」と惜しむ声が相次いでいる。

 副組合長の市議沼田健一さん(72)は「メロンに糖度を乗せるため高度な栽培技術が求められたが、ほぼ完成形にたどりついた」と感慨深げに語る。

 「培った技術や施設がもったいないという思いはある」という宍戸さんは、地元の農業法人に生産継承を提案しているという。

 「震災で何もかも失って諦めかけたが、全国から支援をもらい、慣れない仮設住宅やアパートに暮らしながら栽培してきた。生産終了はもちろんさみしいが、今は皆さんにクールボジャを味わってもらってお礼を伝えたい」と話している。

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