東北、今夏の電力需給は荒れ模様 逼迫警報→出力制御→節電の夏

東北電力本店=仙台市青葉区

 東北エリアの今年の電力需給が荒れ模様だ。3月に地震をきっかけとした電力不足が起き、4、5月には太陽光発電などの再生可能エネルギーを使い切れない事態が頻発。そして今夏、再び電力が不足する恐れがある。需給調整を担う東北電力ネットワークは刻々と変わる需要と供給を一致させようと、追加の供給力確保などを進めている。(報道部・関川洋平)

東北電ネット、調整に汗

 「生活や経済活動に支障のない範囲で協力を求める」。政府は7日、全国の家庭と企業に対し7年ぶりに夏場の節電を要請した。節電した家庭にポイントを支給する制度も検討する。

 今夏は東北エリアの電力不足が特に深刻だ。7月の供給余力を示す予備率の見通しは3・1%と最低水準の3%をわずかに上回る程度。宮城、福島両県で最大震度6強を観測した3月16日の地震で複数の火力発電所が停止している上、電力を融通し合う他エリアの発電所も点検などで稼働が少ないことが原因だ。

 東北電ネットなど一般送配電事業者は需給改善に向け、発電所を追加で稼働させる事業者などを公募。供給力の上乗せにめどがつき、東北の予備率は1ポイント程度改善する見通しとなった。ただ、地震など不測の事態があれば予備率が急低下するため、予断を許さない。

 東北エリアは3月の地震直後にも電力不足に見舞われた。同22日は悪天候による太陽光発電の出力低下と急な寒波による暖房利用が重なり、国の電力需給逼迫(ひっぱく)警報が初めて発令された。

 節電の呼び掛けと他エリアからの受電で乗り切った東北電ネットだが、4月に入ると一転して電力余りへの対応を迫られた。

 再生エネ導入量の増加に伴い、空調などの使用が少ない春や秋は気象条件によっては、火力発電を最小限にしても電力が過剰になる。使い切れない再生エネ発電を停止する出力制御は東北では4月10日に初めて行われ、5月29日まで14回を数えた。制御量は最も多い日で、火力2基分に相当する132万キロワットに上った。

 電力は今後も足りなくなったり余ったりを繰り返すのか。東北電ネットは「再生エネはある程度は余ることを前提に導入が進む」と説明する。ピーク時の需要に応えようと再生エネを増やすと、ピーク以外は余るのが避けられないからだ。

 一方、夏や冬の電力不足は、2024年度以降に一定の改善が期待されるという。

 供給力が不足気味となる背景には、発電コストを電気料金で確実に回収できる総括原価方式が16年度の電力自由化で撤廃されたことがある。予備の発電所を持つ余力が小さくなり、稼働率が低いなど採算性に乏しい発電所の休廃止が加速した。

 対策として20年度に設けられたのが、4年後に確実に動かす発電所を入札で確保する「容量市場」。発電事業者には投資回収の予見性が高まる利点がある。市場の活用により東北では24年度、1349万キロワットの需要予測に対し1765万キロワットの供給力を確保済みという。

 東北電ネットは24年度の供給力について「一定の余力がある」と説明する。東北電が女川原発2号機(宮城県女川町、石巻市)を計画通り24年2月に再稼働すれば、供給力はさらに上積みされるとみられる。

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