(321)富士を去る日焼けし腕の時計澄み/金子 兜太(1919~2018年)
日焼けをするほどの時間を富士山で過ごしたのでしょう。日本一の山ですから、その感慨もひとしお。去らなければならない切なさが胸に広がります。対照的に腕時計の文字盤は澄みきり、もう帰る時間だと静かに告げて…
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。