「宗教2世」の苦しみ知って 旧統一教会・元信者で脱会支援活動 東北学院大非常勤講師の竹迫之氏に聞く

親の宗教問題に苦しむ子どもたちについて解説する竹迫氏=17日午後、白河市

 安倍晋三元首相が銃撃された事件で、山上徹也容疑者は母親が入信した宗教団体「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)」に強い恨みを抱いたとされる。旧統一教会の元信者で脱会を望む人たちの支援を続ける東北学院大非常勤講師の竹迫之氏(55)=福島県白河市=に、熱心な宗教信者を親に持つ子どもたちが抱える問題について聞いた。(報道部・高橋葵)

全国から相談

 -事件で注目された宗教に絡む親子の問題とは。

 「自分の意思によらず、生まれや育ちによって暴力や金銭トラブルといった問題をはらむ宗教組織との関わりを強いられる立場にある人は『宗教2世』と呼ばれる。1960~70年代に創立された新宗教の信者の子どもが10代、20代に成長して存在が顕在化した」

 -これまでの支援活動は。

 「2000年に入って2世からの相談が増え、東北では約30年で50人ほどから相談を受けた。福島県の女子高生から09年ごろに受けた相談は『親に就職活動を妨害されている』というものだった。親は、宗教の合同結婚式に参加させるために花嫁修業をさせたかったという。相談は交流サイト(SNS)を通して全国からも今も来る」

 -2世たちの特徴は。

 「未成年の子どもは宗教的なしがらみから離れたいが、経済的に親に頼らざるを得なく精神的に苦しむケースが多い。よく聞くのは、家族は好きだけど宗教は嫌いという言葉。宗教に熱中している親と、それ以外の時の優しい親との二面性に困惑するようだ。脱会することで親が悲しむのではないかと罪悪感を抱きやすいのも特徴といえる」

 -山上容疑者は、母親が信仰する宗教を恨んでいたとされている。

 「容疑者のように親が多額の献金をして苦しむ2世は珍しくない。気持ちは分からなくもないが、苦悩することと容疑者のように実際に行動に移すことには大きな開きがある。襲撃したところで解決にはならない」

 -支援している2世たちの事件の受け止めは。

気持ち重なる

 「容疑者の宗教に対する気持ちに重なる部分があるという声を聞く。多額の献金によって生活が困窮したことなど、容疑者に関する報道を目にして自分の過去を追体験している人も少なくない。今回の事件によって、自分が2世と周りにばれたら危険な人物だと思われるのではないかと恐怖を感じている人もいる」

 -2世への公的な相談窓口や支援はあるか。

 「そもそも2世たちは行政サービスに疎い人が多い。幼少期から宗教組織内で人間関係を構築しているので、組織外部と関わることが少ないからだ。社会福祉士らと生活保護申請に行くが、『宗教』という単語を出したとたんに自治体の担当者の顔がこわばるのが分かる。それだけ宗教2世に対する理解が少ないということだ。まず、親の熱心な信仰で苦悩する2世の問題を一般的に認知してもらう必要がある」

[たけさこ・いたる]東北学院大卒。旧統一教会の信者だったが、活動中のけがが原因となり2年ほどで脱会。その後、脱会支援の活動に従事する。日本基督教団白河教会牧師、東北学院大非常勤講師。専門はキリスト教学。秋田市出身。55歳。

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