陸上養殖ウニの8割死滅 宮城・南三陸、大雨で水槽の塩分濃度急低下

 宮城県南三陸町の水産加工会社ケーエスフーズは記録的な大雨の影響で、同町戸倉で陸上養殖に取り組むウニの約8割が死ぬ被害に見舞われた。昨年始めたばかりの新規事業で、西條盛美社長(72)は思わぬ事態を嘆きつつ「今回の教訓を次に生かしたい」と前を向く。

養殖施設でウニが減ったカゴを見せる三浦さん。大雨の前はびっしり入っていたという=7月29日、南三陸町戸倉

 同社は東日本大震災の津波被災地に水槽16基など養殖施設を整備し、昨年6月に稼働した。ふ化させた稚ウニや、ウニに食べられ海藻が消える「磯焼け」対策で駆除した志津川湾のウニを海藻や野菜の残りかすで飼育する。今年3月からは身入りが良くなった約1万2000個を出荷した。

 同社によると、海水を引き込んでいる水槽に大雨が降り注いで塩分濃度が急激に下がった。昨年10月に初めてふ化させた稚ウニから育てた約50万個のうち40万個が死に、今春から育てる駆除ウニも約8700個のうち7500個が死んだ。成育の早いウニは今年秋や年末の出荷を見込んでいたが、難しくなった。

 水槽では水温と塩分濃度を24時間自動制御しており、普段の雨ではほとんど影響はない。養殖場担当の三浦和久さん(35)は「今回はあまりにも雨量が多く、対応が追い付かなかった」と明かす。

 同社は今後、大雨が予想される際はあらかじめ水槽を覆うふたを設置する。雨水を流そうと、水槽内の循環を止めたことが水質悪化を招いたことも分かり、循環を止めないようにする。

 ウニの陸上養殖は海洋環境の改善につながり、天然物が旬を迎える夏以外に安定的に出荷できれば、ビジネスとして可能性も広がる。同社は採算が取れるように飼育規模を拡大する方針で、駆除ウニや稚ウニを順次増やしていく。

 西條社長は「ふ化したウニが10万個残ってくれて希望がつながった。まとまった量の出荷は1年遅れてしまうが、地域と協力しながら引き続き養殖を進めたい」と力を込める。

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