世界初、防波堤活用し波力発電へ 釜石湾・実証事業始まる 「オール岩手」の技術結集

釜石湾の湾口防波堤で進められた波力発電設備の設置工事=7月15日(マリンエナジー提供)

 岩手県釜石市の釜石湾にある湾口防波堤に設置した波力発電の実証事業が7月31日、スタートした。身近な海洋資源を活用し、再生可能エネルギーを生みだそうと産学官が連携した。防波堤への波力発電設備の設置は世界初。岩手県内の中小企業がそれぞれの技術を結集し、「オール岩手」で手がけた。

養殖施設での利用目指す

 波力発電は海面の上下動で通気口内の空気が動き、タービンが回る仕組み。気流の向きが変わってもタービンの回転方向が変わらない特殊な機器を採用した。

 事業主体の「マリンエナジー」は市内の海洋土木、電気工事、造船、繊維強化プラスチック(FRP)製造の4社が設立。発電設備の設計から製造、設置、システム開発、維持管理までを地元や岩手県内の事業者が担った。

 技術面では、東大先端科学技術研究センターや国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所がサポートした。

 施設の遠隔監視用として同市新浜町に建てた陸上観測所で運転開始式があり、関係者約50人が参加。マリンエナジーの泉修一社長(65)は「世界でも例を見ない防波堤を活用した発電システムだ。地域の力を結集して進め、経済循環による地域の活性化を目指す」と力を込めた。

 環境省の委託事業で予算は3億9400万円。発電設備は現在1台だが、将来的には5台に増やす計画があり、年間発電量は33万2800キロワット時を見込む。電力は観測所で使うほか、陸上養殖と海面養殖の各施設での自動給餌に役立てる。

 釜石沖は2015年、国の海洋再生可能エネルギーの実証フィールドに選定。漁業への影響などを考慮しながら産学官で最善の発電方法を探ってきた。今後は近隣漁港や離島への導入可能性も検討したい考えだ。

運転開始式で一斉にボタンを押す泉社長(左端)ら関係者

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