今こそ極めたいウイスキー道 100円から試飲OKの店で家飲みの楽しみ方聞いてみた

左から小岩店長、須藤バイヤー、店員の廣瀬菜々子さん(撮影のためにマスクを外してもらいました)

 空前のウイスキーブームが続いています。シングルモルトにブレンデッド、スコッチにアイリッシュにバーボン…と種類は幅広く、ストレート、ロック、トワイスアップと飲み方もさまざま。でも、結局飲んでいるのはあの有名銘柄のハイボールばかりという人も多いのでは? 日常の枠から一歩踏み出してみませんか。試飲・量り売りができる店として人気の酒店「BaPhare(バファール)」(仙台市青葉区中央)の小岩清高店長(41)と、運営する吉岡屋(仙台市)のバイヤー須藤元さん(33)に楽しみ方を聞いてみました。こんなご時世です。家飲みを豊かなものにしてみましょう。(編集局コンテンツセンター・安住健郎)

ストレートでもイケるオススメの3本

 約60平方メートルの店内の壁には260種超のウイスキーボトルがずらり。バーを思わせる造りに「さまざまなウイスキーを気軽に試してほしい」と小岩店長。ボトルによって価格は違うが、最も安いものでは10ミリリットル100円から試飲ができる。

試飲用のウイスキーをサーブする須藤さん。店内では10ミリリットルから試すことができる

 ハイボールは居酒屋でもすっかり定番メニューとなった。「いつも角瓶(サントリー)やブラックニッカという人でも、ちょっと違う味を楽しんでみては」。バイヤーの須藤さんはそう言って①グレングラント・アルボラリス(税込み2240円)②バスカー アイリッシュウイスキー(1980円)③アイルオブスカイ12年(3080円)の3本のボトルを出してくれた。

 「比較的安価な部類だが、ストレートで飲むにも耐えられるのがこの3本」と須藤さん。①はフルーティーさが際立ち、②は甘みが感じられる。③はピーティー(燻製=くんせい=を思わせるピート香)なのが特徴だ。「角瓶もブラックニッカもバランスが取れたいいウイスキーですが、そこから正統進化した味を楽しんでほしい」と話す。

左からグレングラント・アルボラリス、バスカー、アイルオブスカイ12年

 店には5種類の異なる特徴を持つウイスキーを50ミリリットル(1~2杯分)ずつ瓶詰めした飲み比べセット(1600円)もある。小岩店長は「700ミリリットルのボトルを買って口に合わず『失敗した』と思われるのが一番悲しい。無理ないスタートを切れるようにしてみました」と意図を説明する。

50ミリリットル入りの飲み比べセット

新たな余韻…チェイサー選びも大切

 さて、好みのタイプが分かったら、違う楽しみ方も体験したい。そんな希望に須藤さんは1本の透明な水の瓶を出してくれた。ミネラルウオーター? いや、単なる水ではないらしい。

 「ヒルドンはイギリス産の中硬水で、ウイスキーが造られた土地の水に近い。チェイサーに使うと余韻が全然違います」と須藤さん。ストレートのウイスキーを飲んだ後に口に含むと、何ともまろやかな味が広がることに驚かされる。「チェイサー一つを変えても味は全く変わってくる。高価なウイスキーはいっぱいありますが、低価格なものでもさまざまな楽しみ方はあります」(須藤さん)

チェイサーにぴったりのヒルドンは330ミリリットルで378円

世界で人気の「ジャパニーズ・ウイスキー」

 日本にウイスキーが広まったのは戦後。高度成長期とともに消費は急拡大した。「ダルマ」の愛称で知られるサントリーオールドやスーパーニッカが夜の街を席巻。バーやスナックにボトルキープするという習慣が定着し、消費量は1980年代にピークを迎えた。しかし、バブル経済の崩壊で出荷量は激減。2000年代にはピーク時の5分の1まで落ちこんだ。

 「おじさんのお酒」というかつてのイメージを一新させたのはサントリーだった。角瓶を炭酸水で割り、レモンで風味を加えた「角ハイボール」はビールの代わりに飲める酒として人気に。消費量は急回復した。14年にニッカウヰスキー創設者・竹鶴政孝と妻のリタを主人公としたNHK連続テレビ小説「マッサン」放送も追い風になり、シングルモルトなど奥深さを探究する人も増えた。複雑で繊細な味わいの「ジャパニーズ・ウイスキー」は世界でも人気で、サントリーの山崎や響は極めて入手しにくい状況が続いている。

お手頃なワインもそろえた店内

開けてからのドラマが長く続く

 店長の小岩さんはソムリエの資格も持つ。「ワインは栓を開けたら2~3日以内に飲まなければならないはかなさがあるが、ウイスキーは逆」と違いを説明する。そんな言葉を聞いて須藤さんが取り出したボトルは「グレンリベット1973」。人気のシングルモルト45年物は1本20万5000円。店内で最も高い。

グレンリベット45年。これも試飲は可能で、10ミリリットル3160円

 栓を開けた時は失望したという。「『どよん』とした粘性があり、悪臭とすら言える香り。だめかもしれない」。小岩さんと2人で肩を落としたが、「空気に触れたことでどんどん良くなっていった」(須藤さん)。失望は日々希望に変わっていったという。「開けてからのドラマが長く続くのがウイスキーの良さ」(小岩店長)。やはり道は奥が深そうだ。

BaPhareのホームページはこちらから
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