ホテル仙台プラザの元バーテンダー、仙台銀座で伝統守る

 ホテル仙台プラザ(仙台市青葉区本町)にあったバー「MainBar OAK Room(メインバー オークルーム)」で腕を磨いたバーテンダーがその名を引き継ぎ、仙台銀座(青葉区中央)で営業している。仙台市中心部のホテルでは少なくなった「大人の学校」。「若い人たちにも伝統的なバーの楽しさを知ってほしい」とシェーカーを振るう。(編集局コンテンツセンター・佐藤琢磨)

カクテルの全国大会で優勝した自信作「ヴァージンロード」

 「いらっしゃいませ」。当時も着ていた白いタキシード姿で迎えるのはオーナーの菊地健さん(45)。カシ(オーク)の木を使った明るい茶色のカウンター、同じ色調の棚にはウイスキーやジンなど世界中の酒が並ぶ。「本家より少し明るめの色合いですが、バーにはぬくもりを感じるオークが似合う」とほほ笑む。

 仙台市生まれ。プラザにはホテルマンとして入社した。バーテンダーに憧れ、配置転換を希望。駆け出しの2001~06年、オークルームで修行した。「僕の原点」と懐かしむ。

 成長を目指して仙台を離れ、ホテルニューグランド(横浜市)やクルーズ船「飛鳥II」のバーで経験を積んだ。07年夏にはカクテルの全国大会で優勝。そろそろ仙台に帰ろうと考えていた11年3月、プラザが閉館した。

 「本当は戻って働きたいと思っていたのですが」と菊地さん。古巣のカウンターに立つ夢はかなわなかったものの、プラザ元会長の許可を得て18年7月に同じ名の店を開いた。「上品な紳士淑女が集う雰囲気が大好きだった。ああいう大人の社交場が目標」と話す。

カウンターに立つ菊地さん。「ホテルのラウンジのように、夕方から気軽にグラスを傾けてほしい」と午後3時に店を開ける

 新型コロナウイルス感染症の影響で一時、休業や時短営業を余儀なくされた。開店から3年余り、再び客を迎える喜びをかみしめる。

 看板メニューは全国大会で優勝したカクテル「ヴァージンロード」。バーボンウイスキーにクランベリージュースなどを加え、すっきりした甘さの中にバーボンがほのかに香る。「アルコール度数を抑えて飲みやすく仕上げてあります」

 20種類をそろえる国産クラフトジンも店の売り。植物やかんきつ類、お茶など香りのバリエーションはさまざま。秋田杉の葉に5種類の植物をブレンドした「秋田杉GIN」は爽やかな香りでソーダ割りが合う。皿に添えたミントやローズマリーでグラスの縁をなぞると、香りの変化が楽しめる。

 プラザ時代、足しげく通ったという青葉区の会社員村田正宜さん(72)は「当時、菊地くんは若手のホープ。よく試作品を飲ませてもらった。名前を引き継いでくれたのはうれしい。驚いたのは秋田杉のクラフトジン。今までにない飲み方で、特に香りが素晴らしい」と目を細める。

 50代前後の客が多いが、最近はバー未経験の若者も増えている。菊地さんは「お酒の飲み方、社交を学べる絶好の場所。最新のお酒や飲み方も提案します」と新たな生徒の来訪を待つ。

「秋田杉GIN」のソーダ割り。香りの変化を楽しめる
老舗ホテルのバーテンダー、仙台銀座で伝統継ぐ

[メインバー オークルーム]仙台市青葉区中央3の10の22、第6菊水ビル4階。営業時間は午後3時~午前0時(木曜は午後6時開店)。日曜定休。カクテル「ヴァージンロード」は1430円、国産クラフトジンは1430円から。連絡先は022(266)0990。

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