山形・大雨から1カ月 長引く復旧作業、観光業に大きな影響

 大雨が山形県に甚大な被害をもたらしてから、3日で1カ月がたった。飯豊町の男性1人は行方不明のまま見つかっていない。県内の被害額は約280億円。復旧作業が長引き、観光業などに影響が及ぶ。相次ぐ水害に、地元を離れる決断をする住民も出てきた。

8月の大雨で水没したボイラーを見つめる柏倉さん=8月31日、大江町

温泉旅館、堤防設置で移転対象に おかみ「最後まで営業続けたい」

 最上川が氾濫し住宅が浸水した大江町百目木(どめき)地区で8月下旬、国などが検討する堤防の整備計画に住民が同意した。2020年7月の豪雨の後に国から提案され、今回の豪雨被害で「早く設置を」との声が強まっていた。町によると、堤防の外側に当たる約20戸が移転対象になる見込みという。「あてらざわ温泉湯元旅館」もその一つ。おかみの柏倉京子さん(67)は「諦めが半分以上」と複雑な感情を抱く。

 8月25日に住民組織「百目木地区堤防整備推進委員会」が開いた会合。町が会場に用意した将来の同地区の模型を見た柏倉さんは「2年おきに水害が起きるのでは仕方ない。移転先での営業は難しい」と感じた。

 今回の大雨で延べ約60人のボランティアが手伝い、敷地内にたまった泥はおおむね片付いた。ただ、浴場と客室をつなぐ通路の壁は破損したまま。源泉を温めるボイラーが水没し、2年前と同様に交換が必要となった。

 1978年に夫(故人)と旅館を始め、宮城、新潟両県などから宿泊客が訪れた。2度の豪雨被害に、常連客から励ましの連絡もあったという。「移転する直前までは旅館を続けたい」と語る柏倉さん。10月の営業再開を目指し、復旧を急ぐ。

 山形河川国道事務所によると、堤防は高さ最大5メートルで2027年度に完成する予定。住民の移転先は決まっていない。

堤防整備後に想定される百目木地区の模型。右側の色の濃い部分が堤防

道の駅、大きな打撃 国道121号通行止め続く

 米沢市と喜多方市を結ぶ国道121号は米沢市側ののり面が崩落し、16・5キロにわたり通行止めが続く。復旧のめどが立たず、流通や観光への影響も長引きそうだ。

 大きな打撃を受けるのは、米沢市南西部の郊外に位置する「道の駅田沢 なごみの郷」。8月の利用は1日10台未満にとどまった。通常時は国道を通る車の利用が大半を占め、週末になれば1日約100台が立ち寄っていた。

 食堂の営業も8月半ばまで取りやめ、道の駅の同月の売り上げは昨年比で約3割に落ち込んだ。田中広太郎駅長(75)は「新型コロナウイルス禍で訪れる地元住民も少なく、ダブルパンチの状態。一日も早く復旧してほしい」と思いを吐露した。

 一方で「お客さんの来場を待つだけではいけない」との思いも抱える。廃棄を減らすため中止していた名物の手打ちそばの提供は、3日から土日祝日限定で再開する。もりそば、かけそばを共に通常価格より50円引きの800円で用意し、集客につなげたい考えだ。

通行止めが続く国道121号=1日、米沢市入田沢

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