(404)死ねば帰る今頃なれば霧の故郷(さと)/遠藤梧逸(1893~1989年)
霧。平知盛は「見るべきほどのことは見つ」と言って死んでいったが、振り返れば昔の記憶にはうっすらと、霧。秋冷至る季節になって、一層故郷への思いが募る。ああ、ちょうど今頃死ねば、故郷は朝晩、霧を置く季節だなあ。死を見据えた達観、しかし心はなつかしい故郷に走る。心の目で見た故郷の霧は、晴れただろうか。作…
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