<記憶の素描(13)芥川賞作家・石沢麻依>人形の居る街
春になると、彩りの増えた街の中で、彼らが静かに姿を現し、その微笑が日差しに移ろうのを目にするだろう。教会や市役所の前で、石畳の敷き詰められた広場や淡い緑がこぼれる公園内で、緩やかに流れる川のそばで。カフェやレストランの屋外のテーブルに腰を下ろしたり、街角に佇(たたず)んで人や車の流れを見つめていた…
関連リンク
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