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難病「堂々と生きる」  愛知の27歳、女性活躍コンテストで訴え大賞

 肌に色素斑や腫瘍が多数現れる国指定の難病「神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)」を患う愛知県小牧市のガラス作家大河内愛美(まなみ)さん(27)が、九月に開かれた社会で活躍、貢献する女性をテーマにしたコンテスト「Beauty Japan」中部NEO大会でグランプリに輝いた。過去には心無い言葉を浴びせられたこともあったが「同じ病気やハンディキャップに悩む人が、私を見て『自分も一歩踏み出してみようかな』と思ってくれたらうれしい」と願い、来月には日本大会に挑む。

ビューティージャパン中部NEO大会のファイナルステージで、思いを訴える大河内愛美さん=9月2日、山梨県山中湖村で

「伝えることで人生は変わる」

 「言葉のやいば。『ゾンビなの?』。生きることがつらい日々」「水着もドレスもずっと避けていたけれど、病を理由に逃げない。私は堂々と生きていく」。山梨県山中湖村の大会会場に、大河内さんの訴えが響いた。首や肩を露出した深い青色のドレスを着てスポットライトを浴びる。なるべく肌を隠し、人と関わらずに生きてきたころからは想像もつかなかった。

 物心ついた時には、色素斑やぶつぶつとした神経線維腫があった。母には「生まれつき」と言われ、そう思っていたが、周囲は冷ややかだった。

 小中学校では「バイオ」と呼ばれた。ゾンビが登場するホラーゲームにちなんだあだ名。仲間外れにもされ、疎外感の中で過ごした。「なぜ私がこんな目に」と自問したものの、そのうちに考えることをやめ、心を閉ざした。「友だちと呼べるような人はいなかった」という状況にも慣れた。

 高校、大学と進むにつれて環境も変わったが、「人と積極的に関わるのは怖いまま」。ところが二〇一八年、昔からあこがれだった俳優に交流サイト(SNS)を通じてガラス作家の活動を伝えたところ、本人に会って話す機会ができ、転機になった。「夢はかなうし、自分が動けば変わる。病気のことも発信すれば知ってもらえるかもしれない」。ブログを開設し、病気や自身の思いをつづり始めた。

 レックリングハウゼン病患者の2〜4%に生じる「悪性末梢(まっしょう)神経鞘(しょう)腫瘍」が見つかり、摘出のため背骨や神経を切削してボルトを七本埋める手術をした時も、ブログに書いた。「人は情報がないから攻撃的な言葉で傷つける。より多くの人に、私や病気を知ってほしい」とビューティージャパンに出場を決意。中部エリアで、内面の美しさを評価するビューティー部門のグランプリに選ばれた。

 以前は肌を隠す長袖しか着られなかったのが、いつしか半袖も平気になった。昔より、自分に自信も持てる。「病気を遠ざけるのではなく、伝えることで人生は変わる。『無理だ』と思っていた私にもできた。病気や障害など人と違うことで悩む人が、私を見て一歩を踏み出してくれたら」(中日新聞・高田みのり)

[神経線維腫症1型(レックリングハウゼン病)] 国の指定難病の一つで、カフェ・オ・レ斑と呼ばれるミルクコーヒー色の色素斑(しみ)や、ぶつぶつとした神経線維腫が全身に多数出現する。色素斑はレーザー、神経線維腫は手術で一時的に除去や軽減できるものの、再発も多く根本的な治療法はない。難病医学研究財団難病情報センターによると、約3000人に1人の割合で発症し、国内に約4万人の患者がいると考えられている。

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