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毎朝ごみ拾い、ユーは何者? 正体は英語講師の米国人女性 「生徒の掃除」がきっかけ

 熊本市内で毎朝「自転車に袋を積んだ外国人女性がマジックハンドを使い、雨の日も風の日もごみ拾いをしています」との情報が、同市の70代男性から熊本日日新聞「SNSこちら編集局」(S編)に寄せられた。周囲の注目を集めるこの女性は一体、何者なのか? 現場に向かった。

愛用のマジックハンドでごみを拾うウオーターマン・ジュリーさん=熊本市中央区

 午前7時、熊本市中央区保田窪1丁目のローソン付近。通勤や通学で人々が行き交う中、一人の金髪の女性が自転車を押してさっそうと現れた。

 自転車の籠に燃やすごみやアルミ缶、ペットボトルなど分別のための5種類の袋を詰め込み、カラスなどに荒らされてぼろぼろになったごみ袋を補修するための粘着テープやひもを入れた赤色のポーチも持ち歩いている。道路に素早く目を配り、落ちている菓子パンの袋をマジックハンドでしっかりとつかんでいた。

 女性に話しかけると流ちょうな日本語が返ってきた。尚絅高(熊本市)で英語講師を務める米国人のウオーターマン・ジュリーさん(64)=熊本市中央区。自宅周辺で10年以上、道路の清掃活動を続けているという。それにしても、自転車を押しながらごみを拾えるマジックハンドなど、充実した装備だが…。「最初は短いトングを使ってたけど、近所のおじさんにお薦めされました」と話した。

ウオーターマン・ジュリーさん

 1983年、大学のクラブ活動の一環で初来日。日本の街並みが気に入り、米国と日本各地を行き来しながら英語講師をしていた。2003年に来熊し、九州学院高(熊本市)を経て尚絅高に勤務。現在、米国人の夫と二人暮らしだ。

 なぜごみ拾いを始めたのか。米国の学校ではスタッフが校内を掃除するという。ところが「日本では生徒が掃除するんだ」と新鮮な驚きがあり、自分もやってみようとごみ拾いを始めたそうだ。

 通勤前の1時間、忙しい日は15分ほど。悪天候でも毎日近所を散策しながらごみを拾う。この10年でごみの量は減っておらず、ポイ捨てが絶えないという。

ごみ収集場所で穴が開いたごみ袋を見つけ、粘着テープで補修するウオーターマン・ジュリーさん

 長年の活動が評判となり、20年2月には熊本市の表彰も受けた。通学途中の生徒らと「グッドモーニング」とあいさつを交わしながら、「『今日は誰に会えるかな』とか、『あっちの道まで行ってみよう』とか、毎日わくわくしながら拾っています」とほほ笑んだ。
(熊本日日新聞・岡本遼)

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