(425)星を一撃十一月の人焼く火/対馬康子(1953年~)
「星を一撃」だけだと、どことなくロマンチック。だが「十一月の人焼く火」と続くと、「星を一撃」が硬質な響きを持ってくる。武満徹の楽曲「ノヴェンバー・ステップス」のような妖しい奥行きを湛(たた)えた「十一月」だ。今の日本の焼き場で煙突はあまり見ないので、筆者はガンジス河の滸(ほとり)で行われるような火…
関連リンク
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「秀句の泉」は、俳句の魅力を伝えます。執筆は俳人の永瀬十悟さん(福島県須賀川市)、浅川芳直さん(宮城県名取市)、及川真梨子さん(岩手県奥州市)の3人。古典的な名句から現代俳句まで幅広く取り上げ、句の鑑賞や季語について解説します。