じいちゃん飛び出すの!? 熊本・大津ミルクロードに珍看板 事故防止へ地元住民設置
「じいちゃん、ばあちゃんの飛び出しに注意」。大津町の山あいを走る通称ミルクロードの一部、県道北外輪山大津線の道沿いには、ドライバーに注意を呼びかけるユニークな看板が並んでいる。一体誰が、何のために設置したのか。熊本日日新聞「SNSこちら編集局」(S編)取材班で調べた。
車で走ると、大津町高尾野などの約2・4キロの間に計32個の看板を確認できた。付近で1時間ほど様子を見たが、高齢者の飛び出しは見られなかったが…。
看板について道路管理者の県に聞いてみたが「県が立てた看板ではありません」。大津署に話を聞くと「道沿いの『からいもの店』の人が立てられたのかも…」と話したが、詳細までは分からなかった。
「からいもの店」とは、大津町特産のサツマイモを自動販売機で売る地元の「食のより道」という店だ(現在は販売休止中)。訪ねると、看板は同店の経営者の長男、高浜健児さん(52)が個人で設置したことが分かった。
幼い頃からミルクロードそばで生活してきた高浜さん。長年、法定速度を超過する「走り屋」を目撃してきた。地元は高齢者も多く、死亡事故も複数回発生。そこで10年ほど前に「じいちゃん飛び出し注意」「ばあちゃん飛び出し注意」など、高さ60センチほどのプラスチック製の看板約10個を道沿いに設置した。「短文で目を引くフレーズにこだわった」と話す。
さらに6年前の熊本地震では阿蘇と熊本都市圏をつなぐ国道57号が寸断され、迂回(うかい)路になったミルクロードは通行量が急増。渋滞で集中力が散漫になりがちなドライバー向けに「急いでも5分もかわらんバイ」など20個の看板を追加した。
文字の印刷は業者に発注し、総額10万円ほどの製作費は全て高浜さんの自腹だ。「車で道路に出ていく際、以前よりも車が譲ってくれるようになった」。高浜さんの元には地元住民から感謝の言葉も寄せられたという。(熊本日日新聞・岡本遼)
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