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<記憶の素描(14)芥川賞作家・石沢麻依>中庭の踊り手

 ハイデルベルクの3階にある下宿の窓から、小さな中庭を見下ろすことができる。青白く震える樹木と、赤い葉の生垣(いけがき)で彩られたそこは、密(ひそ)やかな舞台という印象を抱かせた。枯葉(かれは)の詰まったガラスの花瓶や、椅子の上に伏せられた本、食べかけのケーキの載った皿、石畳に転がったままの青い林檎…

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記憶の素描

 仙台市出身の芥川賞作家石沢麻依さんのエッセーです。ドイツでの生活で目にした風景や習慣の妙、芸術と歴史に触発された思い、そして慣れ親しんだ本や仙台の記憶を、色彩豊かにつづります。

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